12月18日の中医協 (ブリーフィング)
■ 総会② ─ 先進医療
[保険局医療課・佐々木健課長補佐]
(資料)「診─2」(先進医療専門家会議における第2項先進医療の科学的評価結果)です。先進医療でございまして、今回は5つの(先進的な技術の)うち3つが審議の対象になりました。
まず1つ目が動脈管開存症という先天性の疾患(に対する胸腔鏡手術)です。普通は自然に(動脈管が)閉じていくのですが、開存したままの方がいて手術が必要にある場合がある。これを内視鏡的にやるという手術でございます。妥当だろうということで認められています。
▼ 資料によると、動脈管は大動脈と肺動脈の間を連絡している血管の名称であり、通常は胎児期にのみ機能し、生後数週間で自然閉鎖する。動脈管が自然閉鎖しない疾患を動脈管開存症といい、先天性心奇形(1/120出生)のうち5~10%を占める。
それから、「腹腔鏡下スリーブ状胃切除術」です。高度肥満症の人の胃を小さくして食事制限をするための治療法ということでございます。
▼ 資料によると、BMIが35kg/㎡を上回る高度肥満患者は食事療法や運動療法などの内科的治療が長期的な観点で無効とされており、食物摂取を抑制する外科的治療としての胃縮小術が既に保険収載されている。しかし、従来の胃縮小術は上腹部に約30cmに及ぶ切開を必要とするため、高度肥満のために術後合併症(創感染、腹壁瘢痕ヘルニア等)を高率に発症することが課題とされてきた。これに対し、本先進医療は胃縮小術の一術式であるスリーブ状胃切除術を腹腔鏡下で実施するもの。大きな皮膚切開を要さずに数か所の小切開で済むため、術後の疼痛が少なく、開腹術の課題であった術後合併症を回避することができるという。ただし、術後に胃がんを発症した場合、胃全摘術以外の選択肢がないというリスクがあるため、総評には「患者への説明文書を倫理委員会で審査することが必要」とのコメントが付されている。この点につき、邉見公雄委員(全国公私病院連盟副会長)は「早期の胃がんは(胃全摘術の)対象にならない」と指摘。保険局医療課の迫井正深企画官は「早期の胃がんはすべて胃全摘術が必要ではないので改める」と回答した。
「腹腔鏡下膀胱内手術」は、膀胱尿管逆流症と巨大尿管症に対する治療を腹腔鏡下で行うというもの。(腹腔鏡下スリーブ状胃切除術、腹腔鏡下膀胱内手術)いずれも既存の開腹手術を行わないでいいので侵襲が低くなるということでございました。
ただし、(質疑で)いくつか話題になりました。まず、費用負担の問題です。「自己負担分が高いのではないか」という議論もございました。(将来の保険適用に向けて保険外併用を認める)先進医療の制度と、(既に保険適用が認められている)保険の負担制度そのものの議論とが必ずしも明確に分離して議論できていなかったのではないかなと思います。
全体的に承ったのは、(保険外)併用ができているが、良いものについては早く保険導入することによって結果的に患者さんの負担が減るということになりますから、良い技術については迅速に導入していくことを進めていくことではないかと(意見を)承っていて思いました。
それから2番目の技術ですか、「腹腔鏡下スリーブ状胃切除術」の(総評の)コメント欄です。「保険収載に関して安全性の評価が必要ではないか」というご指摘が(勝村久司委員・連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員から)あって、(コメント欄が)話題になりました。
まず、安全性については「倫理委員会できちんと議論されるべきではないか」というご指摘が勝村委員からございましたが、これは7ページ(当該技術の医療機関の要件案)の中で、医療安全管理委員会の設置が必要とか、倫理委員会による審査体制が必要としています。
倫理委員会などの議論を経た上でこの技術にチャレンジすること、病院として取り組むということが付いていますので、そういう中で病院ごとに議論されていくことになるのではないかという話になったと思っています。
それからもう1つが、この術後に胃がんを発症した場合に「胃全摘術以外の選択肢がない」というのがちょっと極端な書き方ではないのかという指摘が邉見委員からございました。確かにご指摘のところもございまして、進行胃がんであれば胃全摘しかなくなると思いますが、早期胃がんであれば胃全摘までは(必要)ないので、そこは......。
コメント欄なので、これ自体が通知や告示のネタになるというよりは、どちらかというと7ページ(当該技術の医療機関の要件案)のほうが施設要件につながってくるので、必ずしも修正を現場に周知する必要があるかということはありますけれども、誤解を招く部分もありますので、ちょっと(修正の)やり方については検討した上で......。
(コメント欄の)胃がんが進行胃がんであるということは何らかの形で提示できるようにしたいと思います。やり方はまだ検討中です。総会は以上でございます。
【目次】
P1 → 保険医療材料専門部会 ─ 平成22年度保険医療材料制度改革の骨子(案)
P2 → 総会① ─ 医療機器の保険適用
P3 → 総会② ─ 先進医療
P4 → 基本問題小委員会① ─ 後期高齢者に係る診療報酬
P5 → 基本問題小委員会② ─ 長期入院患者に係る診療報酬(資料説明)
P6 → 基本問題小委員会③ ─ 長期入院患者に係る診療報酬(論点)
P7 → 基本問題小委員会④ ─ 長期入院患者に係る診療報酬(支払方式)
P8 → 基本問題小委員会⑤ ─ 処方せん等の変更
P9 → 基本問題小委員会⑥ ─ 地域特性への配慮
P10 → 基本問題小委員会⑦ ─ 宿題事項