12月18日の中医協 (ブリーフィング)
■ 基本問題小委員会④ ─ 長期入院患者に係る診療報酬(支払方式)
[保険局医療課・佐々木健課長補佐]
今は、(難病や重症患者らを対象にした「特定除外項目」の)12項目があるかないか(で階段付けをしている)というところですが、それを「(療養病床の)医療区分を使ってはどうですか」、「(療養病床の)ADL区分を使ってどうですか」という提案をしました。これについては、「もうちょっと研究が必要なのではないか」ということでございました。
○ 論点それから、支払方式です。(論点)2で(特定除外項目を廃止しないという)結論が出ているので(論点)3まで(議論が)行かないのですが......。
3. 支払方式について
[案1] 減額対象となる者(※2)については現行どおり包括払いとし、減額対象とならない者(※3)については一般病棟入院基本料等による出来高払いとする。
(1.及び2.の要件は別として、考え方はほぼ現行どおり)[案2] 基本の考え方は案1と同様だが、15対1病棟に限り、90日を超えて入院する患者全員を対象として、試行的に、療養病棟入院基本料と同じ報酬体系(※4)を導入する。
(年齢の区分なく、90日超で一定の病棟、一定の区分の患者は全て包括)※2 現行、後期高齢者特定基本料を算定する患者を指す。
※3 現行、特定除外項目に該当する患者(特定除外対象患者)を指す。
※4 医療区分及びADL区分を用いた包括評価を指す。
(議論の結論は)減額対象とならない方(の選別)を「医療区分」を使うのではなく、今のように(特定除外項目の)12疾病かどうかを作って区分する。
▼ 現行通りなので、「案1」で了承。ブリーフィングの質疑で、佐々木補佐は「(了承された)と理解している」と回答した。また、「案2」については「病床種別を変えるということではなく、支払いの方式として療養病棟と同等の取り扱いにしてはどうかということ」と述べた。「案2」で「15対1」だけを挙げたのは、「15対1」の患者構成が医療療養病床のそれに近いとの理由。資料によると「13対1」も類似しているが、「15対1」のほうがより類似している。ちなみに今回提案しなかった「案3」もあったようで、それは「15対1病棟に限り」という限定をなくす案。つまり、7対1入院基本料を算定する病棟もすべて包括にする案。
今日のご議論では、(90日を超えると減額になる「後期高齢者特定入院基本料」に代わる)名称は「仮称」ということで、「長期療養者特定入院基本料」ではどうでしょうかということを......(提案した)。
(佐藤敏信)課長は(名称変更について)特段ご説明しておりませんが、そういう名称にして(減額対象の)年齢を広げる。ただし、(急性期病院と回復期・慢性期)病院の役割分担を考えると、(入院期間)90日超で(特定除外項目の)12疾病以外の患者は包括の点数になっていただいて......、ということが今日の方針......、議論していただいたと思っています。
▼ 「特定除外項目」に該当しない限り、一般病棟や障害者病棟で90日を超えると高齢者も若人もすべて減額対象になるということ。こういう改悪を「医療機能の分化と連携の観点から妥当」と考える人がいるから手に負えない。ぜひ、世界に誇れる高回転の"ベルトコンベアー医療"を目指して頑張っていただきたい。ただし、「急性期の後方病床がない」などと言わないように......。ちなみに、一般病棟で90日を超えても減額されない患者が現行の「特定除外項目」と同じになるかどうかは微妙。参考資料(15ページ)では、「急性期の入院医療を必要とする患者」というあいまいな表現になっている。
議論の中で西澤(寛俊)委員(全日本病院協会会長)からも(意見が)出ましたが......。障害者病棟や特殊疾患病棟については前回改定の時に大々的な調査を行ったのですが、次々期の(2010年度)改定に向けて、一般病棟の長期入院について、療養病棟や介護病棟などを幅広く横断的に......(調査すべきとの意見があった)。
慢性期の患者さんがおられそうな所をひとくくりに横断的に調べて、それによってどういう患者さんがいるのか、どういう所に入っていただくのが良いのか、どういう点数付けが良いのか。非常に幅広い議論になると思いますが、「そう(いう調査を)すべきではないか」というご提案もありました。そういう方向性については、恐らく委員の方々も合意(した)かなと思っています。
▼ 2012年度の「医療・介護ダブル改定」に向け、中医協の下部組織である「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」(分科会長=池上直己・慶大医学部教授)で調査を実施するのだろう。
引き続き具体的な案をまたお示しさせていただく中で、(次々期改定に向けた調査など)再度そういう確認的なご議論もあると思いますが、一応そういう状況でございます。
【目次】
P1 → 保険医療材料専門部会 ─ 平成22年度保険医療材料制度改革の骨子(案)
P2 → 総会① ─ 医療機器の保険適用
P3 → 総会② ─ 先進医療
P4 → 基本問題小委員会① ─ 後期高齢者に係る診療報酬
P5 → 基本問題小委員会② ─ 長期入院患者に係る診療報酬(資料説明)
P6 → 基本問題小委員会③ ─ 長期入院患者に係る診療報酬(論点)
P7 → 基本問題小委員会④ ─ 長期入院患者に係る診療報酬(支払方式)
P8 → 基本問題小委員会⑤ ─ 処方せん等の変更
P9 → 基本問題小委員会⑥ ─ 地域特性への配慮
P10 → 基本問題小委員会⑦ ─ 宿題事項