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ニュース〜医療の今がわかる

12月18日の中医協 (ブリーフィング)

■ 基本問題小委員会③ ─ 長期入院患者に係る診療報酬(論点)
 

[保険局医療課・佐々木健課長補佐]
 (90日超で減額になる老人特定入院基本料は)平成10年からあった仕組みでありまして、本当のことを言いますと、(90日超で減額になる後期高齢者特定入院基本料は)「後期高齢者医療制度」が導入されたから入った制度ではないのですが、この仕組みが大変議論を呼びました。「年齢を制限している」ということと、「脳卒中の後遺症、認知症の行き場をどうするのか」という問題も絡みまして、非常に議論が起こったところでございます。

 そういう意味で、この(90日超で減額になる後期高齢者特定入院基本料の見直し)問題は、障害者病棟や特殊疾患病棟と併せて議論していただくために整理しています。「論点」を見ていただくと......、(資料)「診─2」の6ページです。

○ 論点
 「後期高齢者」という名称を廃止することを前提として、一般病棟で90日以上に渡り入院を継続する患者に係る入院料について、診療報酬上の評価をどう考えるか。

1. 年齢要件について
 現行では減額対象となる者を75歳以上に限定しているが、これを他の年齢へ広げることについてどう考えるか。

2. 病態要件について
 現行の特定除外項目を廃止し、療養病棟入院基本料で用いている医療区分採用項目又はADL区分に試行的に置き換えることについて、どう考えるか。

3. 支払方式について(略)

 (先ほど説明したような)そういう前提がありまして、今回この「後期高齢者特定入院基本料をどうするか」という議論をお願いしたいということでした。

 まず、「後期高齢者」という名称を廃止することは全体的な方針としてあるわけです。あと、一般病棟で90日以上入院しておられる患者さんの診療報酬をどう考えるかということで、(論点を)3つご提示いたしました。

 1つは年齢要件。75歳以上に限定しているということについて、(若人などを含めるよう)年齢を広げることについてどう考えるかというのが1つ。

 ▼ 医療費抑制の象徴である「後期高齢者医療制度」の趣旨を若人にも広げる提案だが、あっさり了承されてしまったと考えるべきだろうか。もしそうだとすると、「中医協の診療側委員は何をやっているのか!?」と言いたくなる。

 これについては、今日の議論を拝聴しておりましたが、「75歳以上という年齢要件は取っ払っていいんじゃないか」ということだったと思います。

 ▼ これは同意。「年齢要件をなくす」という点については異論がなかったように見える。問題は、「年齢要件をなくす」ということと、「他の年齢にも減額対象を広げる」ということがイコールであるという前提で合意したかどうか。ブリーフィングの質疑で佐々木補佐は「それも含めて合意したと思う」と述べた。論点の記載も、「減額対象となる者を他の年齢へ広げることについてどう考えるか」と読めるため、減額対象の拡大に診療側が賛成したと思うしかない。信じられないことが起きてしまった。中医協委員から日医執行部を外した弊害が出てしまったか。ブリーフィングの質疑で、複数の記者から「医療費削減効果があるか」との質問が繰り返し出たが、佐々木補佐は「どちらとも言えない。分からない」と回答した。

 それともう1つが、(90日を超えても点数が下がらない)現行の「特定除外項目」を廃止して、医療区分とかADL区分を使うということ。それによって、軽い方と医療の必要度が高い方を分けて、それで90日以降の階段付けをする。

 ▼ ブリーフィングの質疑で、佐々木補佐は「ADL区分を単独で使うことはない。医療区分1は点数が包括になって、区分2と3は出来高のままという使い方もある。それにADL区分を組み合わせて考える(という方法もある)。特定除外の12項目ではなく、医療区分という尺度を用いてはどうかという提案だった」と説明した。


【目次】
 P1 → 保険医療材料専門部会 ─ 平成22年度保険医療材料制度改革の骨子(案)
 P2 → 総会① ─ 医療機器の保険適用
 P3 → 総会② ─ 先進医療
 P4 → 基本問題小委員会① ─ 後期高齢者に係る診療報酬
 P5 → 基本問題小委員会② ─ 長期入院患者に係る診療報酬(資料説明)
 P6 → 基本問題小委員会③ ─ 長期入院患者に係る診療報酬(論点)
 P7 → 基本問題小委員会④ ─ 長期入院患者に係る診療報酬(支払方式)
 P8 → 基本問題小委員会⑤ ─ 処方せん等の変更
 P9 → 基本問題小委員会⑥ ─ 地域特性への配慮
 P10 → 基本問題小委員会⑦ ─ 宿題事項

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