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ニュース〜医療の今がわかる

医療は本当に成長産業になるのか

100529fukuoka.JPG昨年末に政府の公表した新成長戦略では、医療・介護が今後の日本を支える産業分野として位置づけられました。しかし、医師不足に代表される医療崩壊が解決してもいないのに可能なんでしょうか、可能だとして、その手順はどうなるのでしょうか。人口あたり医学部数や医師数が日本の中では多く、活気あることで知られる九州で、識者や首長に熱く討論していただきました。(川口恭)

福岡でシンポジウム

市民公開シンポジウム『九州に医療クラスターを』

5月29日、福岡国際会議場にて

(NPO法人・健康医療開発機構主催、福岡市共催、ロハスメディア協賛)

【座長】

薬師寺道明・久留米大学長

【パネリスト=50音順】

高橋伸佳・JTBヘルスツーリズム研究所所長

土屋了介・健康医療開発機構理事(癌研究会顧問)

夏目隆史・亀田メディカルセンター メディカルディレクター

古川康・佐賀県知事

山田亮・久留米大学先端癌治療研究センター所長

吉田宏・福岡市長

*当日の映像も間もなく公開の予定です。

 座長の薬師寺道明・久留米大学長によって進行されたシンポジウム。前半部は、首都圏から福岡入りした3氏による問題提起でした。
 まずJTBの高橋氏が、同社で調査したデータに基づき、日本の医療はアジアの中で全く知名度がなく、誰に何をどうやって訴求していくのか十分に考えたうえでブランドを確立しないと、外貨獲得などおぼつかないと警告。国際医療機関認証JCIを日本で唯一取得している亀田メディカルセンターの夏目氏は、JCI審査の過程で日本がアジアでも遅れていると気づいた時の衝撃を「日本の医学は一流だが医療は三流だ。嘘だと思うなら、韓国でもシンガポールでも現場へ行って見てきてほしい」と語りました。
 最後に土屋氏が、日本の医療の抱える様々な問題を解決するため、家庭医を多数養成するとともに、1カ所に医療施設を多数集積した『医療クラスター』を作れば、ひいてはそれが国際競争力を高めることにもなると提言。地元の方々も交えたパネルディスカッションへと移りました。

3つの医療都市構想
 ここからは、パネリストたちの議論を拾っていきます。

吉田 福岡市の場合、政令市でベスト3に入るほど医療資源に恵まれている。都市の成長戦略として医療をどう考えるか。医療ツーリズムとして外国から患者さんを呼んでというのもあるが、既に岡山以西唯一の小児専門病院をはじめとする医療施設、高齢者関連施設をアイランドシティ(人工島)に集積させる『ふくおか健康未来都市構想』というものは進めている。

古川 福岡市から車で30~40分、新幹線ができれば博多駅から10分ちょっとの新鳥栖駅前に3年後に、兵庫以西で初めて炭素線で治療する『九州国際重粒子線がん治療センター』ができる。患者さんを九州全体から集め、さらに他国からも来ていただけるような仕掛けを考えられないかとプロジェクトが進んでいる。講演を聴いて、メディカルツーリズムには課題も大きいんだなということを認識した。夏目さんには、JCIを取ってどのような効果があったか教えてほしい。

山田 福岡県でも県南部の久留米を中心とした地域に『福岡バイオバレープロジェクト』という名の先端医療都市構想が動いている。久留米には、久留米大病院以外に大きな民間病院がいくつもあり医師の数も多い。加えて農業が盛んな地域柄を生かしてバイオ産業を誘致し、医療とのクラスターを作っていこうというものだ。古川知事ご紹介の重粒子線センターは、久留米と川を挟んだ所にできるので、同一のクラスターとして捉えることは可能だと考えている。

夏目 我々は以前から外国の患者さんを受け入れており、JCIを取得したのは外国の患者さんを狙ってということではなく、医療の安全と質を向上させていくツールとしてだった。質を向上させる取り組みは、病院全体漏れなくという風にしたいのだが、大抵は抵抗勢力ができる。でもJCIのために推進していくよと言うと、仕方ないなと受け入れてくれるようになった。もちろん、JCI取得によって欧米の医療保険が支払ってくれるようになったので、外国人患者受け入れの際に苦労する決済が随分スムーズにいくようになったのも事実だ。

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