村重
「本当にもっと早い対応をというのはありますね。医学的、科学的な対応ができればそういう方向に行くと思うんですけど、やはり色々な違う意味のインセンティブが働いてしまう。責任が生じないようにしようというインセンティブが全体として働いてしまうので、情報をなかなか公開できないとかですね。元々、国民の命を扱う分野なので、個人情報以外は原則として国民のために全部公開してもいいと思うんですけど、何か発想が違うんですよね。基本は出さない。なぜこれは出さなきゃいけないのという発想なんですよね。そこは逆だと思っていて、基本は全部出すものでしょう。個人のプライバシーの配慮などは必要ですけれど、どっちが基本かという点が逆だとずっと思ってますね。レセプトデータや副作用報告などのデータベースを基本的に全部公開して、個人情報だけ隠す、ということができれば、もっと多くの目でチェックできるので、早く気づく確率は高いじゃないですか。早く気づいて、これは危ないんじゃないかとか、専門家の人たちも、もう少しこういう対応を取った方がいいんじゃないかという議論がオープンにできると思うんですけどね」
坂田
「日本という国は、どうも検証が下手だなと思うんですよ。やはり検証がなければ前に進めないと思うんですね、何か問題が起きて。だから私はその問題も、やっと今回研究班ができて検証できることになりましたけれど、もう遅すぎるんですよ。検証ができる段階でなかったということが検証できた、それが本当に残念です」
村重
「無過失補償と免責の制度をきちんと作っていかないと、みんな恐くて検証できないという状態がずっと続いて、これからも恐らく同じ事を繰り返してしまうんですよね」
坂田
「本当ですね。検証の基本は情報公開だと思うんですよ。情報さえあれば即検証できますので、それをきちんとやってもらわないといけないなと思いますし、きちんと検証できるように文書を残すことが一番肝心な部分ですが」
村重
「無過失補償と免責がないと、抱えこんで情報を出さない、むしろ隠そうというインセンティブが働いてしまう背景があります。だから無過失補償と免責制度を作ることが国民全体を守るためにも大事なことだと思います。もちろん、それだけではありません。情報を出さないこと、情報を独占することが役人の権限の源なので、国民には知らせない。国民は何も知らないから反論すらできないんですよ。厚労省が作った都合のよいデータをほんのちょっとだけ発表すると、それしか国民には情報がないので、その前提でしか議論ができないんです。だからデータベースは、そもそも国民のための情報なんだからすべて出すというのが当たり前なのに、そういう発想にならない。逆に基本はすべて隠す、どうして出さなきゃいけないのという発想なので、国民はほとんど情報を見せてもらったことがない。皆さんもそうだと思うんですけど、知れば知るほど誰もが同じことを感じ、考えるようになることってありますよね。だから情報があれば、数字があれば、もうちょっと皆さんちゃんと議論できるし、確率を見てこっちの方がいいよねという判断ができるはずなんです。でもそういう考える材料になるような情報やデータベースを公開しないというのが役人の権限で、ひざまずかせるというか言うことをきかせる都合のよい方法なんですね。そういう風に国民をバカにしたような、依らしむべし知らしむべからずと言いますけど、今でもそうで、データを出さないことによって自分たちの思い通りにさせる構図になってるんです」