村重直子の眼17 小田知宏・発達わんぱく会理事長(上)
元厚生労働省大臣政策官の村重直子氏が在野でキラリと光る人たちと対談していく好評のシリーズ、今年も続きます。2011年のトップバッターは昨年も一度ご登場いただいた小田知宏氏。ビジネスの経験を生かして障害者福祉の世界に新風を吹き込もうとしています。昨年12月9日にNPO法人「発達わんぱく会」を設立、発達障害の子どもたちを対象とした療育教室を展開していくことになっています。(川口恭)
村重
「前回お話をうかがった時は、ビジネスモデルを模索しているところだったと思いますが、もう始まるそうですね」
小田
「ビジネスモデルは確立されまして、絶対にうまくいくという確信はあるんですけど、やってみないと分からないので、それを今試そうとしているという感じですね。そのビジネスモデルは、世の中にある療育のコストを3分の1に下げる、その手段として回転率を上げるということに尽きるんですけれども。
世の中に発達障害の子どもたちが6.3%いるにもかかわらず療育の機会が全く足りてないんですね。いくつかある理由のうちでもコスト的なものは大きいと思っていて、1人1日2万円から3万円くらいかけて療育をしているので、民間がやったらすぐに赤字になっちゃうし、行政が今ある所を増やそうと思っても簡単ではないんです。必要とする子どもたちに療育の届いていないという現状を変えたいんです」
村重
「それを詳しくうかがう前に、発達障害のことを少し教えていただけますか」
小田
「第四の障害と言われています。身体障害、知的障害、精神障害が今までの障害で、それに加えて。発達障害者支援法というのが2004年にできて、最近」
村重
「ようやく認知されてきた」
小田
「はい。発達障害って、かなり広いカテゴリーで、要は自閉症とかADHDとかLDと言われる子どもたちですけど、他の3つの障害に比べて特徴的なのは、早期発見・早期療育で、障害による生きにくさ、生きることの難しさがかなり軽減されるということがあります。
発達障害の子どもたちは、社会性であるとかコミュニケーションとかが総じて苦手なんですけれども、それによって何が起きるかというと、親の愛を受けられないとか友達ができないとか、学校の授業に付いていけないとか、ことばに関して不自由とか、そういう二次障害と言われるものが出てきて、それが直接的にすごく大きなハンディキャップになるんですよ。早期発見・早期療育をすることで、その二次障害を軽減することができると言われてます。そこで発達障害の子どもを対象に、発達障害の子どもに一番効果があると言われている1歳半から小学校に上がるまでの子どもが発達する最も大切な段階に、療育をするんです。私がやろうとしているのは、その教室です」