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ニュース〜医療の今がわかる

村重直子の眼9 小山万里子・ポリオの会代表(上)

100512koyama.JPG100512murasige.JPG 元厚生労働省大臣政策室政策官の村重直子氏が在野のキラリと光る人たちと対談していくシリーズ。今回のお相手は、ポリオの会代表の小山万里子氏です。ほとんどの人が、「そんな話知らなかった。本当なの?」と思うであろう話の連続です。ことポリオに関する限り、厚生労働省の予防接種行政は、犯罪的なのでないかという気にすらなってきます。今回も3回に分けてお伝えします。(川口恭)


村重
「5月18日から、ポリオワクチンを海外で使われている不活化したものに切り替えるよう署名活動を始めてらっしゃいますね」

小山
「2月に神戸でポリオ生ワクチンの二次感染被害が発生しました。これで、もう黙っていられないと思いました。以前から政府行政には不活化ワクチンへの切り替えの要望を続けてきましたが、ワクチン接種が世の中の人に怖いものと思われたらいけない、パニックをひき起こしたり、生ワクチンの接種を受けない子と受けた子が出たら大変危険だと考えて、社会に訴えかけるようなことは控えてきました。でも、このままだと、また次の被害者が出ます。もう耐えられません。今は新規のポリオ患者は、すべて生ワクチンが原因です」

村重
「自然発生はもうないのに、生ワクチンを使っているためにワクチン接種後に発症されるんですね。多くの国では不活化ワクチンなので、ワクチンの後に発症することはないと」

小山
「そうなのです。アメリカは1999年までは不活化ワクチンを2回注射した後で生ワクチン2回投与でした。不活化を2回打てば生ワクチンを投与してもその人は発症しない。ただし、生ワクチンを飲んだことでウイルスをまき散らし、ほかの人に感染させる恐れはあったので、2000年に完全に生ワクチン投与は停止しました。で、その頃に日本も生ワクチンから不活化に切り替えを検討しましたが、それからもう10年経っています」

村重
「今でも厚労省は国産にこだわって輸入せず、国産の混合ワクチンを開発しますと言っていますからね。その間に、生ワクチンでポリオ発症する被害者が増えてしまいます」

小山
「4種混合は何年も前から言われていて、2005年に日本ポリオ研究所が治験に失敗して、そのままになってしまっています。2年前の平成20年3月の時点で、福田首相が国会答弁で初めて数字をあげて、平成年度のポリオの生ワクチンによる被害が80人、2次感染が5人と言いました。19年間で80人ですから、1年間に4人以上の発症です。2次感染によるポリオ発症の統計は平成16年までなかったので、16、17、18、19の4年間で5人。年に1人以上。2次感染として認められた方の数です。これが政府の認めた数ですけれど、実際にはもっと被害者は多いはずです」

村重
「統計に出てない方の数も多いと」

小山
「この数字より大きいでしょう。ほとんどの医師はポリオのことを知りませんから、診断がつきません」

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