村重直子の眼9 小山万里子・ポリオの会代表(上)
村重
「診断がつかないと、ワクチンの被害だと認定もされないですね」
小山
「そうですね。大前提として、生ワクチンでポリオが絶対に起きるわけがないと、440万例に1人と言われています。そうしますと『先生、子どもの様子がおかしいのです』と保護者が訴えても、そんなの起きるわけないと。先日ワクチン被害を認定された2歳の子は、たまたまその子のおばあちゃまの友達が私どもの会員で、生ワクチンでポリオ発症を知っていましたので、『ひょっとしてポリオの発症ではないですか』とお医者様に訊いたのですけれど、『生ワクチンでポリオの発症なんて聞いたことがない』、『でも手がだらーっとしています、足も動きません』。それで1年以上経ってしまった。ウイルスの検出ができるのは投与から6週間なのですね」
村重
「便からの検出ですね」
小山
「はい。そうすると高熱の後、何だか様子がおかしい、どうしようと思っているうちに検出できる時期を過ぎてしまう。証明が難しくなります。ただし、その子の障害者手帳にはポリオと書いてあるのです。他のウイルスが検出されると、たとえばコクサッキーウイルスA16(CVA16)が検出されると、その疑いもあるから認めないとされます。CVA16が原因でポリオ状のまひが生じることはありません」
村重
「ワクチンの補償制度は、法定接種にしたものしか対象にしていないという問題がありますけれど、法定接種のものは幅広に、因果関係が明確でなくても疑わしきは認定して補償しようという理念のはずなのに、そうではないということですね」
小山
「今、日本ではポリオ発症しないはずです。ポリオ患者が出たら、その原因はワクチン以外に考えられない。ところが、まずポリオという診断をつけにくい。どこに行ったらポリオという診断をつけてもらえるか。数年前に父親が子供からの二次感染でポリオを発症したと報道されたとき、私の方に問い合わせのあった方は、小学校入学の子供ですが入学時の健康診断でポリオの疑いと言われました、と。だとしたら、野生株は完ぺきに終わっているのですから、ワクチンが原因です。その子のお母さんが泣きながら、『私は子供を先天性障害児として産んだと思って、子供に申し訳ないと思っていたのが、これで救われました』と。その方のお住まいの県では、ポリオの診断がつかなかった、東京まで出て、やっと診断がついたのです。ただし診断がついただけです。補償の認定はワクチン被害の証明がもう出来ないので、不可能です。そしてワクチン被害と認定されてもその後のフォローは極めて不十分です。
しかも認定されても、年金にもランクがありますし、医療補償だけというのもあります。医療補償の場合には、例えば今都内在住の方なんですけれど、A市で発症した。そうしたら一生、A市が医療費補償などの対応をします。しかも医療費が出ますと言ったって、いちいち受診するごとに受診した病院に証明書を書いてもらわないといけない。そんなワクチンの被害者の証明書の書き方なんて分からないから、毎回毎回新しい病院に行く度に嫌な思いをする。都内在住の人が仙台に行ったって、北海道に行ったって、いちいちA市に手続きをしないといけない」
村重
「いつまでも、その自治体の所管なのですね」