村重直子の眼9 小山万里子・ポリオの会代表(下)
小山万里子・ポリオの会代表の最終回です。
村重
「本当に色々と工夫していただいて」
小山
「1分でも長く先生に診ていただきたいのですよ。そのためには、そういうことをしないと。本当にエゴの塊です」
村重
「いえいえ、医療スタッフにとってもありがたいことです」
小山
「患者が医療で利益を得るためにはどうしたらよいかということを突き詰めていく必要があります。幸いに今はインターネットがありますので、会の活動なんかもホームページやメーリングリストを使って連絡できますので、だから定例会などは、会員の居住地は散らばっていて遠いですし体の具合も悪いので、集まりに出られないのを大前提にしていまして、会報作成などで気を付けているのも、色々な情報を全員に公平に届けるということ、パソコンのないような方にも、そういう場に出席できない方にもきちんと伝わるように。だから定例会の講演会なんかも、先生方の息遣いが伝わるようにテープ起こしをしています。そうするとついつい原稿も長くなっちゃうのです」
村重
「こういう情報は、本当に患者さんにとっては貴重なのでしょうね。普通に医療機関にかかってもなかなか手に入らない情報ですよね」
小山
「本当に今、たとえばワクチンでポリオを発症するお子さんは認定されている方で年間で4、5人位。少数です。ですから、その子供たちがあと30年40年経ってポリオ後症候群を発症した時に、彼らのことを分かってくれる医者もいない、ポリオを知っている医師もいない、と。私、会員の方に言うのは、ポリオという症状を知ってくださっているお医者さんに会えれば超ラッキー、ポリオ後症候群を知ってくれているお医者さんに会えれば超々ラッキー、ポリオとポリオ後症候群を分かって下さり診てやろうというお医者様は神様です、と。そういう気分ですけれど、それが現在でも実状だと思います。今でさえそういう状況です。30年後はどうなるでしょう。今いろいろ会報などによって、たとえば子供たちに情報を少しでも残せますよね。それからアジアやアフリカのように、今ポリオが発生している国の方々は、これから何十年か後にポリオ後症候群が大問題になると思うんですよ。その人たちにも情報として伝えておきたい、何とか情報を残したいのです。今現在も、ポリオとポリオ後症候群は、本当に訳の分からない疾患ということで、不安にかられて鬱になる人も非常に多いですから、そういう人たちにきちんと伝えていきたいなと思っています」
村重
「素晴らしいですね。図書館にも入っていると伺いましたけれど、翻訳して世界に出したいくらいですね」