村重直子の眼9 小山万里子・ポリオの会代表(下)
小山
「ありがたいと言っていただくと恐縮ですが、診て下さるクリニックや病院が潰れたら一番困るのは患者自身なのですよ。ポリオ後症候群の診察をしていただいているクリニックの先生方は、本当に経営上引き合わない、赤字で申し訳ないという思いです。診察時間がかかる。何せ1人に対して優に30分ぐらいかかりますからね。しかも注射でも、せいぜい痛みのひどい人にヒアルロン酸を1本打つくらいで、それじゃとっても病院経営は成り立ちません」
村重
「診療報酬の体系で、厚労省が決めた値段でそうなっているということですからね。値段設定次第でどうにでもなるとは思うのですけど」
小山
「それに加えて、医師の指導の下で、きちんとしたリハビリを受けたい。そうすると悪化が防げる、どんどん右肩下がりに体調が悪くなる中、何とかその右肩下がりの角度を緩やかにしていきたい。理想としては維持したいのですよね、現実的には。ところが2006年にリハビリ日数制限問題が起きた時に伺うと、改善でないと認めない、維持ではリハビリは認めない、ポリオは必要だからみとめようとは当時の水田局長が国会で答弁していますが実際の現場ではきれいごとです。5カ月診ていただいて、それから1カ月休んで、その後別の疾患名で5カ月やってもらうよというようなこと皆さんそれぞれやってきています。それで毎月毎月先生は診療計画を出さなきゃいけませんけれど、診療計画出しても、例えば骨折なら診療計画出してよくなるわけですね。でも悪くなるのを必死になって食い止めているような場合には、計画として悪くなるのを防ぎました、ちょっとしか悪くなりませんでしたという言い方では通りにくい。維持するということは重要なことだと思うのですが。
村重
「誰のために計画書を作って提出しているのかと思いますね。患者さんのためではなく、役人のためでしょうか」