村重直子の眼9 小山万里子・ポリオの会代表(下)
小山
「健康保険組合も経営が悪化している。そうしますと改善の見込みのある装具ですかと、改善しないのだったら障害者手帳で作ってくださいというような言われ方で保険での装具作成を拒否される例があるそうです。今後どんどん厳しくなるだろうと思います」
村重
「そうですね。財源を厳しくすると、こういう所から切って行くことになってしまいますよね」
小山
「装具なんかでも1つじゃ困るのですよ。1つだと、ビスが飛んだだけで歩けなくなりますからね。もう1つサブがないと。だから皆、手帳で1つ作り、健康保険で1つ作りで、交互に修理することで生活しているのです」
村重
「本当は障害者手帳も健康保険も、社会のセーフティーネットで、困った人のためにあるはずなのに。患者さんを守るためではなくて、財源を守るため、制度を守るための制度、何か目的が違ってしまっていると思いますよね」
小山
「逆なんですよ。例えば、いい装具ができ、車イスも認められれば仕事に行ける、勤められるのですよ。働けて、税金もきちんと払えて、それから消費もしますし。そういうことで社会的な参加ができるということは、すべてがうまく循環するということですよね。介護負担も減らせます。
村重
「そういう意味では、医療費が増えること自体を悪いこととして抑制するのではなくて、医療費が増えても皆がハッピーになって、さらにその分雇用が増え、税金が増えるのであればいいはずなのですけどね。みんなにとっていいことであれば、医療費が増えてもいいと思うのですけれど」