村重直子の眼9 小山万里子・ポリオの会代表(下)
小山
「当人が気づかないと医者に言えませんよね。だから、先生どうも私、過活動性膀胱だろうかとか、腹筋が弱っているのでトイレが出ないとかいう。たとえば睡眠時無呼吸とかはこれまであまりポリオと結びつくという意識はなかったと思うのですが、ただポリオの場合の呼吸器は非常に重要で、酸素を入れっぱなしじゃないのだ、COPDなんかと違ってむしろ二酸化炭素をきちんと吐けないのだということを理解してくれる医療機関で管理してもらわないと命にかかわります」
村重
「呼吸器をつけるほとんどの場合と逆ですね」
小山
「睡眠時に肺高血圧が出るんですね。幸い日本呼吸器疾患患者団体連合会にも参加させていただいて、思いつくことを全部お伝えしながら、考えていただければなと思っています。私自身も、こういうこと何も知らないでいて、他の方から障害者団体とか障害者のあり方とか教えていただくことも多いです」
村重
「今も社会的に難しいことがあるのではありませんか」
小山
「ありますね。それから今は経済情勢がきびしいため障害者雇用枠での就職も厳しい。障害者の雇用って1年間は補助金が出ますけど1年経ったら終わります。そうすると1年経ったら別の人を雇って助成金をもらうということをする企業もありますし、その人が働けるかどうか毎回毎回チェックされるのも非常に屈辱的なことなのです」
村重
「そうですよね」
小山
「給料も勤務条件も悪いとか、足の悪い人の勤務地が階段を上がった所だとか。それから、ポストポリオ後症候群は40代、50代の働き盛りで出ることが多いのですが、そうすると男の方では、これからいよいよという時に動けなくなって鬱を発症する方が非常に多いですね。ポリオ後症候群の症状の一つとして、アメリカでは鬱が言われています。でも言われてなくても鬱になりますよ。私も最初見当がつかなかった時には自分でもおかしくなって、会社の自分の机から医師に電話して、どうしたらいいのでしょうなんて叫んでいましたから」
村重
「そうなりますよね」
小山
「本当に色々な症状がありますし、ポリオの会も他にもいろいろできて、皆さんそれぞれ活動しているようなのでよかったなと思います」
村重
「貴重なお話をありがとうございました。本当に申し訳ありませんというぐらい、知らない話ばかりでした」