率直に話し合ってみたら、役者が足りなかった
土屋
「ご紹介いただいたように個人がまず努力することが大切で、制度は後から付いてくるものだろう。担当医の責任感が大切だろう」
上
「担当医の責任感という話が出たが、小林先生、一言」
小林一彦・JR東日本総合病院外来化学療法室長
「患者さんや周囲の状況にもよるが、許されるのであれば、どこまででもやりたいとは思う。まずは、最新の情報を共有する必要があるだろうし、また一方でそういうスタンドプレーは組織から浮きがちだ」
上
「そう、主治医はどこまででもやりたい。しかしできない状況がある。患者さんの立場からいかがか」
片木美穂・卵巣がん体験者の会スマイリー代表
「大阪時代の私は本当に知識がなく、すべて主治医にお任せだった。しかしこちらに来てからの主治医は、命を預けられても困るから何でもかんでもディスカッションしようよ、あなたが納得して死ねるようにしようと言ってくれて、そこから考え方が変わった」
上
「医療をよくするのは医療者だけではない。サッカー日本代表が強くなったのは、サポーターがよかったからだそうだ」
杉山裕子・癌研有明病院レディースセンター医長
「片木さんから先ほどご指摘いただいて点について言い訳というのではないが、少し説明させてほしい。みな極力時間を取って分かりやすく説明をするようにしている。しかし現状は婦人科の手術だけでも200人待ち。一刻も早く手術をしてあげたいのにベッドもスタッフも足りないという状態。土曜日まで終日手術を入れてそれでやっと1カ月半待ち。そういう新規の方を優先しているので、抗がん剤治療の方はどうしても後回しになる。そこで同じような治療ができる他施設へご紹介をしている。やりたいけれど人手がないということをご理解いただきたい」
上
「国民目線に立てばソリューションは見えてくるはず」
野田
「その前にちょっと話がズレてないか。流れの上で医師と患者さんと通常のコンタクト、説明はしていたはず。その上で納得できずに片木さんの所へ相談が行ったということだろう」
武藤徹一郎・癌研メディカルディレクター
「ダメなものは誰が何をやったってダメなんで、どういうものの言い方をするか。ただ現実問題として、コミュニケーションまで含めて何もかもパーフェクトな医者はいない」
片木
「状況を整理したいのだが、相談の一つは、ガイドラインに載っているレジメンがまだ残っているのに、再発したらドキシルとカンプトしかやらない、もっとやりたければ他へと言われた、どうしたらいいでしょうかというもの。二つ目は、重粒子線とか免疫細胞療法とかエビデンスのないものを紹介されたというもの。サードラインやフォースラインの患者をみないのだったら、最初からそういう風に掲示しておいてほしい」