何か足りない、「ドラッグ・ラグ」の議論
■ 医師の裁量権を拡大するか
ドラッグ・ラグと医療費との関係で問題になるのが、医薬品の処方に関する医師の裁量権を保障した「55年通知」との関係。
日本医師会の武見太郎元会長はかつて、「医師のプロフェッショナル・フリーダム」を提唱していたと伝え聞くが、このように現場の判断で自由に使える薬を認めていっていいのかという問題がある。
官僚による徹底した医療統制を目指す厚労省が「55年通知」の活用に後ろ向きであることは当然で、今後もこうした姿勢は容易に変わらないだろう。
ただ、診療側の安達秀樹委員(京都府医師会副会長)、嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長)を中心に、厚労省をどう突き崩すことができるかが今後の見所かもしれない。
現在の医療課は7月の人事異動でほとんど「全取っ替え」という新メンバー。回答に窮する場面もあり、雰囲気に慣れていないせいか頼りない。
会議終了後のブリーフィング(記者説明会)で厚労省の担当者は「特定機能病院という言葉は法律にもどこにも書いていない」と答えるなど、記者らがドン引きするような状況でかなりヤバイ。
診療側が一気に攻め込むなら今がチャンスかもしれない。
【目次】
P2 → 未承認薬をどうするか
P3 → 医療費は増えるか
P4 → 医師の裁量権を拡大するか
P5 → 患者に不利益はないか
P6 → 副作用被害を防止、救済できるか
P7 → ドラッグ・ラグは解消するか