何か足りない、「ドラッグ・ラグ」の議論
■ ドラッグ・ラグは解消するか
「ドラッグ・ラグ」が解消されない原因として、「二重審査の仕組みが問題」との指摘もある。現在、医薬品の承認は厚労省医薬食品局が所管する「薬事・食品衛生審議会」の各部会で行われている(非公開)。
この会議の事務局として、厚労省の関係機関であるPMDA(医薬品医療機器総合機構)の職員がかり出されている。資料作成など、そのための事務的な負担が相当なものらしい。
現在のルールでは、製薬企業からの申請をまずPMDAが審査した後、さらに厚労省の「薬事・食品衛生審議会」に諮る。この二重審査の仕組みが最大の渋滞原因であるという。そこで、「審査をPMDAに一本化したらどうか」という意見もある。
その一方で、「副作用被害などの責任を負うのが国(厚労大臣)ならば、審査機関は厚労省内に必要」という意見もある。
どっちもどっちに思えるが、実は医薬品の審査をする厚労省の「薬事・食品衛生審議会」が実質的な審査機能を持っているのか疑わしいという。
確かに、ほんの20人程度の医療者や学者が新薬の有効性や安全性を実質的に審査できるのだろうか。もし、そんなことができたらスーパーマンかもしれない。ただの「お墨付き会議」であるなら、やはり無駄ではないか。
医薬品は使ってみなければ分からないという面がある。むしろ、市販後の調査や情報公開、被害救済などに力を注いで、事前審査はできるだけスピードアップを図るという考え方もあるだろう。
25日の中医協で厚労省は、共和薬品と大洋薬品が製造販売する「テオフィリン製剤後発品」が自主回収に至ったことを報告した。
後発品の品質の問題も含め、診療側委員から激しい突っ込みが入ったことは言うまでもない。
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【目次】
P2 → 未承認薬をどうするか
P3 → 医療費は増えるか
P4 → 医師の裁量権を拡大するか
P5 → 患者に不利益はないか
P6 → 副作用被害を防止、救済できるか
P7 → ドラッグ・ラグは解消するか