村重直子の眼16・近藤達也PMDA理事長(下)
近藤
「私が病院にいた頃の話になりますが、医療相談で多くの患者さんとお話することもありました。彼らを保護しながら同時に治療しなければならないのですが、そこで大きな矛盾点として気が付いたことは、守秘義務と情報公開の関係です。両者は相反する話ですよね。彼らは守秘義務守秘義務と言いながら情報公開とも言う。自分にとって都合の悪いことは守秘義務、都合のよいことは情報公開となるのです。その辺りはお互い様で、バランスを取ってやらないといけないわけです。それこそレギュラトリーサイエンスですよね。社会というのは、必ずバランスを取ってかないと、ハーモナイゼーションを取ってかないと」
村重
「そこのバランスが、もうちょっと公開する方に傾けばいいわけですよね。今の状態だと、個人情報じゃないもので出してない部分が相当あるので、まだまだ公開できるものはたくさんあると思うんですよね」
近藤
「先生のおっしゃる通り。そして、それをどこまでやるかというのがレギュラトリーサイエンスなのです。もっとここまでしてもいいのではないかと皆で言えばいい」
村重
「ぜひよろしくお願いします。個人情報以外はもっと出せると思うんです。もっと使いやすくとか、もっと見やすくとか、データベース丸ごととか、もちろん個人情報は出さないように、やり方はいくらでもあるし、もっともっと出せる情報はいくらでもあると思うんです」
近藤
「そういうことを言っていただければいいと思うのです。それを議論してもらう場なのですから。お互いに利益相反にならない程度で、どこまでだったら出せるのか、ここまでだったら出せるよね、という話を。」
村重
「利益相反にならないレベルで出せるものがまだまだいっぱいあると思うんです」