村重直子の眼16・近藤達也PMDA理事長(上)
ご好評の『村重直子の眼』、間を置かずに続けます。今回のお相手は、医薬品や医療機器の薬事承認審査を担当している独立行政法人・医薬品医療機器総合機構(PMDA)の近藤達也理事長です。在野のキラリ光る人に会いに行くというコーナーのコンセプトからすると大変な大物ですが、厚労省在職時に相手が大臣であっても物怖じしなかった村重氏ですから、当然のように発言にブレがありません。3回に分けてお楽しみください。(担当・構成 川口恭)
近藤
「村重さんの本は正確な知識に基づいて書かれてらっしゃいますよね。世の中には情報が飛び交っていますが、一番ほしいのは正確な情報ですよ。データベースと言っても正確な情報だからほしい訳です。それをどう解釈するかは別の話ですが。私が先生を一番尊敬しているのは、本当に正しいデータに基づいてお話してくださるから。世の中には風聞で動く人が結構いますが、足元をさらわれるところがありますよね。けれども、先生のお話は信頼感があり、本当に『そうだよね』と思えます」
村重
「できるだけたくさんのデータを、できるだけ皆さんで共有できると、今おっしゃったような風聞で動くのではなくて、一段レベルアップした議論が皆さんできるはずなのにと、いつも思っていました。PMDAにも有害事象のデータベースがあるので、あれもぜひぜひ国民の皆さんが共有できるように公開していただけませんでしょうか。一応、検索すると一部表示されるようになっていますが、エクセルで全体をダウンロードできると、国民それぞれが研究し多様な視点から解釈するという意味ではもっと使いやすくなると思うんですけど」
近藤
「そうですね。やはり社会の進歩のための研究ですから」
村重
「国民なら誰がダウンロードしてもいいですし、外国人だって構わないわけですよね。他の国のデータベースは私たち日本人もダウンロードできますからね。誰でもアクセスできる、しかも正しい情報が、量もたくさんあって自由に解析できる、というデータベースが公開されていると国民の皆さんの議論のレベルって、もっともっと上がって行くだろうと思っています。きちんと正しい情報を知らされれば、皆さんきちんと解釈できるので」
近藤
「皆さん、賢いのですしね」
村重
「そうです」