地域完結型医療の実現を目指して
■ 今後の対策
【済生会熊本病院院長】
「今後の対策」ですが、機能重視で連携体制を構築していくことが重要だろうと思います。
機能が違うところの連携医療がなぜ必要かは、機能が違うところの組合せをうまくやって、患者の満足度につながるような結果を出していくということですので、機能重視の連携体制を整えていくべきだろうと思います。
昨今、地域医療支援病院に対して疑問が投げかけられているような話も聞きますが、折角地域医療支援病院といういい名前が付いているわけですから、こういった病院の活用を考えるためには、地域医療支援病院同士の話合いの場を作り上げて、そこから地域の医療にフィードバックしてもらうことも必要ではなかろうかと思います。
特に行政との係わりですが、私どもでは県になりますと、ちょっと間が開いてしまいます。保健所だとほとんどの病院のデータを持っていますので、保健所辺りがそれに絡んで、いいアドバイザーになっていただけると、地域の特性が活かされてくるのではないかと思います。
問題は救命救急体制です。救命救急体制は、いま熊本の中では3次を中心というのは大学の付属病院で、1次、2次もごっちゃでやっています。ごっちゃでやっていますが、現実を見ると、これは1次救急だから、2次救急だからという切り分けはできないのが現実だろうと思います。
そうなると、救急患者は増えて、救急を担当する病院が診ていくという考え方です。いろいろな救急医療の提供の仕方があると思いますが、救急患者の中には自分で歩いてくる人もいますし、自分の車で来る人もおりますし、重症度も雑多ですので、トリアージをして、アメリカ型のERみたいな形に救急医療の現場も変わっていくのではなかろうかと思っています。
それから、いま問題になっている周産期や小児ですが、1つの病院でたくさんのドクターたちを揃えることは、現在は非常に難しいので、周産期、小児を中心で診てくれる病院はできにくいと思います。
成人病中心は救急医療を担当する病院がやってくれていますので、周産期、小児中心は1つの地域の中に1カ所と決めてしまうと、そこに集中して職員が潰れてしまいますので、何カ所かに配分したらどうかと思っております。
いちばんの問題は、いろいろなことをやっていますが、そういったものを集約して地域の中にフィードバックするシステムがないことが、熊本市の地域連携医療が抱えている大きな問題ではなかろうかと思いますが、第五次医療計画がありますので、これに期待をしたいと思っています。
▼ 質疑応答は議事録を参照。
【目次】
P2 → 熊本市内の連携医療の特徴
P3 → 熊本市内の病院環境
P4 → 入院患者数比較
P5 → 「自己完結医療」から「地域完結医療」へ
P6 → 連携パスの動向
P7 → 今後の病診(病)連携の課題
P8 → 連携ネットワークの質の管理
P9 → 連携医療とは
P10 → 今後の対策
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