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ニュース〜医療の今がわかる

平成24年改定に向けたDPC制度に係る今後の対応 (下)

■ 「補足として、いくつかご説明を」 ─ 厚労省
 

[小山信彌分科会長(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)]
 1番目の話ですけど、確かにその通り、点数の評価をされているところですけれども、DPC評価分科会での議論で一番問題になったのは、大型病院がなぜ大変なんだろうかということが議論になったんですけれども......

 ▼ そう? 救急医療にDPCがなじまないという議論はあった。

 来るか来ないか分からない患者さんのために、両手を広げてめいっぱい待っているんです。患者さんが来れば、確かに評価になりますけれども、来なければ全く評価されないというのが、やっぱり大病院の一番......、救急をやっている現場でつらいということで、これがやっぱり、病院全体で評価してもらう必要があるだろうという考え方であります。

 それから2つ目のところのですね、前年度の収入......ということなんですけれども、それだけの所帯を持っているわけですから、完全に「ここが前年度収入」で、「これがこっちの機能」というのは恐らく、きれーーに分けるというのはいかないと思います。

 ▼ ??? ここで厚労省の迫井企画官が挙手。しかし、そのまま説明は続く。

 それですので、DPC評価分科会としては、考えられる機能というものを提案させていただきながら、その中で「調整係数」のうち、「これは機能評価していいよね」ということを議論していきたいというふうに考えてつくってまいりました。

 ご存知のように、「調整係数Ⅱ」の中でもって、6つの係数を考えました。でも、これでやっと25%。ということはあと4つということ。

 ▼ え?

 ということは、あと20とか30という機能係数になっちゃいますので、そうすると本来、このDPCが持っている、「単純化しよう」というところの議論から少し外れてまいりますので、これはそろそろ「基礎係数」ということを考えて、そういうものを、先ほどもお話しした通り、同じDPCの中でもすごく重症な患者さんもいれば、そうでない患者さんもいるということをいちいち評価するのは大変なので、これを1まとめのグループにして、その病院全体を評価する。

 群として、その病院の持っている、果たしている機能を評価するために「基礎係数」というものを考えたらどうでしょうか、ということで提案をさせていただいていると考えております。それと、あと追加の部分は事務局のほうでご説明いただければと思います。

[森田朗会長(東京大大学院法学政治学研究科教授)]
 はい、事務局お願いします。

[厚労省保険局医療課・迫井正深企画官]
 はい、医療課企画官でございます。補足として、いくつかご説明をさせていただきます。

 まず西澤委員ご指摘の、特に2点目なんですけれども、今回の議論で分科会長からご説明いただきました(資料)「総─3─2」、分科会長、お時間の関係でご説明を割愛されましたけれども......。

中間報告-005.jpg

 5ページにですね、関連する論点の②でございますが、今回のこの議論をするに当たって、どういった視点で考えていくべきかということも、これもかなり侃々諤々の議論をしていただきました。

 まさにいみじくも、西澤委員ご指摘の通り、データで見ることも重要だけれでも、機能・役割はどうなんだと、まさにその通りでございまして、医療機関群の検討に当たっては......、結論的には両方勘案する必要があるけれども、少なくとも機能的な視点についてはしっかり見据えて行っていこうと。

 この機能的な視点をいくつか掲げて......、今日は時間の関係で分科会長のご報告は割愛されましたけれども、例えば別の報酬体系の病棟の併設の有無でございますとか、あるいは地域医療支援病院かどうか、みたいな医療法上の位置付けのある、役割のある施設についても様々分析していただきまして、結果的に今回のご提案だけに絞られたということでございまして、元々、機能的な視点で見ていただいているということでございます。

 それから、診療実績データについて見ていただくということですけれども、最終的にはこれ、医療機関係数......、医療機関別係数の議論に終着をさせる必要がございますので、医療機関別係数というのは最終的には1日当たりの包括点数に掛ける乗数となりますから、従いまして、視点としましては、包括範囲の1日当たりの出来高点数(診療密度)を中心に......、データとしてはですね、評価を行うべきじゃないかと、ま、こういったことも5ページの点線囲いにまとめさせていただいております。

 ▼ 「上書き保存」の説明はまだ続く......。

 それとあの......、総会の資料には残念ながらないんですが、お手元の分科会の資料の後ろのほうのですね、バインダー、もしお手元にあれば見ていただければと思うんですが、分科会のバインダーの22年のですね、4月22日。ここに22年度改定の時の対応をまとめさせていただいているものがございますけれども......。

「調整係数」廃止の図.JPG

 この4月22日の資料の後ろのほうに、少し大きめのパワーポイントの資料をまとめてございます。その6ページ目に、「調整係数の調整係数の段階的廃止と新たな機能評価係数の設定」と、これは何度も分科会ではお示しをしている図なんですが、これ、申し上げたいのは、参考としている......

 今回、設定しようとしております「基礎係数」というのは、ここで言っているところの「調整係数」による調整部分を廃した一番根っこの平均値でございますので、元々、「調整係数」をすべきだという議論の発端になった......

 自動的にこれを全部ですね、元の点数に押し上げる、調整をするという機能を廃止するということ自体は、それを一番最優先に捉えて見直しに取り組んでおりますので、そこの点については我々としてはしっかり対応させていただいているという認識でございます。事務局からは以上です。

 ▼ あくまでも「補足」の説明だが、分科会長よりも長く、ガンガンしゃべりまくった。これで勝負ありか。最大の見所は終わった。勝ち戦を見届けたかのように、唐澤剛・大臣官房審議官が退出した。医療機関群の議論はほぼ収束、今後は「機能評価係数Ⅱ」の議論で中小病院のガス抜きをちょこっとやってゴールイン、という感じだろうか。とりあえず次期改定で「医療機関群」を導入しさえすれば、後任の担当者は26年度改定がやりやすいはず。現在、経営上の理由からDPCを導入している多くの一般急性期病院は、病院機能のさらなる明確化、専門特化、医師養成機能の強化などが急務になるだろう。

[森田朗会長(東京大大学院法学政治学研究科教授)]
 西澤委員、どうぞ。

[西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)]
 (小声で)はい、分かりました。考え方は分かりました。

 ま......、ぜひ......、「調整係数」をなくした時には......、極端なことを言えば、前年度の収入を確保するわけではないということでは、そこを全く見ないで、病院の機能は何かということで、ここは評価すべきだってものを探してやるというのが本当の機能評価係数です。

 ま、もちろん......、そこには、医療機関の経営状況もございますから、今までの点数とか収入とかを無視するわけにはいかないと思います......が......。

 ちょっと、どうしても資料を見ると、例えば18ページでも............ますから......(小声で聞こえない)

 上のほうには1日当たりの点数というものが出てきて、こことリンクすると、どうしても前年度の収入確保みたいに、さっと読むとみえちゃうんで、なるべくあの......、そういうふうな誤解をですね、受けないような......、きちっとした説明の......、資料の出し方と、説明を今後していただければと思います。以上です。

 ▼ 中小病院を代表する病院団体の発言はこれで終了。

[森田朗会長(東京大大学院法学政治学研究科教授)]
 はい、ありがとうございました。だいぶ時間が経っておりますが、他にご発言いかがでしょうか。

 ▼ 大筋了承のムード。ここで支払側から駄目押しの一発が入る。

 はい、(支払側の)白川委員、お願いいたします。
 

【目次】
 P2 → 「第2の7対1看護になりかねない」 ─ 鈴木委員
 P3 → 「私どもとしては少し認識が違う」 ─ 厚労省
 P4 → 「中小病院より大病院に少し手厚く」 ─ 小山分科会長
 P5 → 「分かりやすく説明いただけないかな」 ─ 西澤委員
 P6 → 「補足として、いくつかご説明を」 ─ 厚労省
 P7 → 「私はこの考え方は支持しております」 ─ 白川委員
 P8 → 「基本的にはこの考え方で問題ない」 ─ 嘉山委員
 P9 → 「地域医療が本当に崩壊しかねない」 ─ 鈴木委員

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