「入院から在宅へ」という考え方について
■ どっちの方向に行っていいか
[武久洋三・日本慢性期医療協会会長]
その辺の国民感情と、財務省の考えとか......。実際、厚労省は病院を増やさないとなると、やっぱり在宅へと。その辺の三者三様のですね......、家族の考え方とか、いろんなものが輻輳して、今はもう、どっちの方向に行っていいか分からない。
財務省は、どんどん家で死んでもらって、老健でも特養でも在宅でも居住系でも、どんどんそこで死んでもらって、病院に行かないほうがいい。
ま、これは一番いいけども、果たしてそうなるかどうか。家族がそこまで耐えられるかどうか。ということになると、まあ、私はフランスやアメリカのようには、なかなかいかないんじゃないかなと。
そういう割り切り方って、日本人って、バサッと割り切れないところがありますよね。だから、医療関係者としてもその辺ですね......
この辺でもうこれ以上治療......、効ないんじゃないかなと思って、少しこう、テンションを下げる場合もありますけれども、それはそれとして、一応、見込みはなくっても、ある程度、栄養とか水分とかやって、最低の治療はするという継続はしますからねえ......。
そこを全く抜きにして、在宅でどんどんどんどん亡くなってくださいというような......風潮に、世の中がなればですね、いいんですけど、今現在は確かに24時間ルールとか48時間ルールとか......。
24時間以内に診ていないと、死亡診断書が書けないとかいう法律的なものもありますしですね、なかなか在宅で、最期まで在宅で看取り死というのを10万円って掲げてもですね、実態としてはほとんど動いていない。というので、ちょっと問題かなと思います。
ただ、我々は国民が望む方向に、現場としては動きたいなと思います。
【目次】
P2 → 誰だって病院で死にたい
P3 → むしろ在宅オタクみたいな
P4 → どっちの方向に行っていいか