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教えて!ジェネリックのこと

16-2-1.JPG最近、テレビCMなどで「ジェネリック医薬品」という言葉をよく聞きますよね。
いったい何のことでしょう。
どういう態度で付き合うと賢いのでしょう。

監修/武藤正樹 国際医療福祉大学三田病院副院長
    林 昌洋 虎の門病院薬剤部長

一般名処方する医薬品のこと。

 どうして医療の世界はカタカナばっかりなのだ! とお腹立ちの方もいるでしょうから、最初に「ジェネリック」という言葉を説明してしまいます。これは「一般の」を意味する英語で、「ジェネリック・ネーム」(一般名)に由来しています。
 何が「一般名」なのでしょうか。
 世の中の工業製品には、物体そのものの名称と商品名と二通りあるのが普通です。ちょっと古い例えで恐縮ですが、「ウォークマン」はソニーの商品名で、「携帯カセットテーププレーヤー」が物体名すなわち一般名。
 医薬品も工業製品で、これとほぼ同じことが言えます。つまり、医薬品の中の有効成分には物質としての名前があり、それと別に薬剤の商品名もあるわけです。
 医師が薬剤を処方する場合、目的はある量の有効成分を投与して効果を上げたいということですから、理屈上は、物質名とその量を薬剤師に指示すればよいことになります。このような指示の仕方を「一般名処方」と言います。
 一般名処方などという言葉が存在するのは、医療現場では、一般名でなく商品名で処方するのが普通だからです。
 欧米では一般名処方に対して「後発医薬品」が出されることが多いので、後発医薬品のことをジェネリック医薬品と呼ぶようになりました。「後発」とは一体何のことか、これは次項で説明します。
 欧米では、たとえ商品名処方であっても、患者さんが同意した場合に薬剤師が品質や価格を考慮して同一成分の他の薬剤を出す「代替調剤」が広く認められてきました。日本でも4月から、条件つきで代替調剤が認められるようになりました(次々頁コラム参照)。
 医師の元には、製薬会社の医薬品情報提供者(MR)が日常的に回ってきて、自社の薬剤の使い方や副作用情報を知らせていきます。日々忙しく過ごしている医師は、この情報を参考にしていることが少なくありません。
 後でも述べますが、有効成分が同じでも、商品名が異なると効き目や副作用の出方が異なる例は結構あります。薬剤に関する情報を十分に持たずに処方すると、何か悪いことが起きた時に医師が責任を問われます。医師からすると不安であり不満です。だから医師は商品名で処方するのが普通なのです。
 ジェネリック医薬品を理解するには、どのような場合に医師が一般名処方や代替調剤を許すのか、知る必要がありそうです。次項から見ていきましょう。

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