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ニュース〜医療の今がわかる

議連発足記念・真の公聴会


網塚貴介・青森県立中央病院総合周産期母子医療センター新生児集中治療管理部部長
「当院でも医師不足は深刻で4人で24時間365日診療にあたっており、私自身年100回近い当直をこなしている。が、今日はその話ではなくNICUにおける看護体制について話をしたい。スライドの写真は『一人飲み』と呼んでいるもので、看護師があまりにも多忙なために抱っこして授乳することができなくなっている。なぜこのようなことになっているかというと、新生児を扱う病棟に看護師の配置基準がないから。厳密にいうと狭義のNICUは3対1になっているのだが、NICUから出た後の回復期病棟は成人の配置基準と同じになってしまう。結果として、1人に1晩で9人〜10人受け持つのが常態化しており、中には15人受け持つような病院もある。回復期だからよいではないかと思うかもしれないけれど、実際にはNICUが慢性的にベッド不足なために、本来ならまだNICUに入っていなければならないような人工呼吸器管理下の乳児もどんどん回復期病棟に押し出されている。このような状態で安全に看護できないのは明白である。実際、10数人受け持ちの看護婦がうつぶせ寝させていて突然死に遭遇し、その後で有罪になるような事案もあった。同じ乳児を預かる保育所では児童福祉法施設最低基準で保育士1人あたり受け持ち乳児が3人までに制限されているのと比べてもあまりにもアンバランスだ。全国の赤ちゃんの声なき声を代弁して、せめて抱っこして授乳できるようにしてほしい」


有賀徹・昭和大学病院副院長(日本救急医学会理事)
「いわゆる救急たらい回しで救急隊が困っているという話が多く報道されているが、本当に困っているのは患者さん。その原因は3つ。まず、搬送しようとした病院が処置中であるというもの。これは要するに需要を満たすだけの供給がないということで、高齢化が進んで搬送は増えているのに、病院は増えていないのである意味当然である。次にベッドが満床であるというもの。これは急性期病院から次に行く病院がなければ流れができないのだから、要するに地域全体の医療が足りないということ。最後に最も深刻なのが、搬送しようとした病院が手に負えないと断るというもの。これはある意味、患者さん側が専門のドクターでなければイヤだ、専門外のドクターで悪い結果が出たなら訴えるというのと表裏一体の関係にある」

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