議連発足記念・真の公聴会
黒川衛・全国医師連盟準備委員会代表
「患者さんを救おうとしている医師を救ってください。このままでは必ず医療は崩壊する。この国は医療制度偽装国家だ。守られない医師配置基準、労働基準法違反の長時間労働、なおかつその賃金すら支払われていない。このような医療体制で国民の生命を守れるのか。しかも結果が悪ければ逮捕されるなど、医師不足の中でさらに現場の士気を失わせることが相次いでいる。医師を法的に守ってほしい。せめて先進国並みの医療費を投入してほしい。病院を元気にすれば驚くほどの雇用が生まれる。医学医療立国を実現すれば、他国から人もお金も集まる。医療費は決してムダ金でない。国・国民を元気にするため以下を求めたい。救命活動を行う人への刑事免責、患者遺族支援のための無過失補償制度の創設、これらがセットになると患者家族も医療者も救われる。それから医療機関内の長時間労働を取り締まってほしい」
桑江千鶴子・都立府中病院産婦人科部長
「(前半部はビジョン会議と同じ要約。)産婦人科医だけが年に180人くらいずつ減り続けている。各地で産科崩壊も続いている。どうしてこんなになり手がいなくて、せっかくなってもやめるのか。24時間365日お産というものはあるのに、昼間だけ勤務が前提の定員になっているというのももちろんある。それ以上に医療訴訟によって私たちは心を打ち砕かれている。福島県立大野病院事件だけではない。医療側からするとあまりに不当で対策の立てようもない判例がどんどん出ている。そういう勤務で、どうやって続けていけと言えるのか。日本の司法は国民感情に配慮しすぎだ。生命という偉大な自然現象の前では、人間の貧弱な知識で何とかなることなど本当に少ない。死亡や不幸な結果は絶対にゼロにならない。ゼロにならないからといって逮捕するのか。もし大野病院事件で加藤先生に有罪判決が出たら、うちの病院では分娩取扱いを中止するか、絶対に安全な数まで制限する」
涙声で桑江部長が言った途端に会場から雷のように拍手が湧き起こった。妊婦を人質に取る発言とも言えるので、状況を知らない人に誤解されることを恐れるが、しかし誤解した人間が吊し上げでもしようものなら本当に辞めてしまうだろう。やはり追い詰められると人は腹をくくるし、失うもののある人間は、腹をくくった人間に勝てない。
「女性医師が踏み止まってくれるよう、全体の労働環境整備をして、子供を生み育てることのできるようにしてほしい」
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