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福島県立大野病院事件第四回公判

 これまでの公判では全く触れられることのなかった医師法21条に関して尋問が行われている。今回の証言からムリクリ筋を立てると、院長に対して加藤医師が虚偽の説明をしたために院長が届出できなかったという風になるのだろうが、いかにも苦しい。

 ただし、今回は検察お得意の「取り調べの際にはこう供述したではないか」攻撃がなかったので筋書きが苦しく見えるだけで、供述調書には加藤医師に不利な証言が記載されていると見るべきだろう。

 さて弁護側の反対尋問である。この反対尋問で勇み足というか、しないでもいい尋問を行ってヤブヘビになるボーンヘッドがあった。

  弁護人 手術時のスタッフの数(注・執刀医、助手、麻酔医、オペ席ナース、器械出しナース、外回りナース2、助産師2)は十分だと思いますか。 
  院長 事故があってから、さらに増えましたが、一般的には十分だと思います。
  弁護人 途中から看護師が入って鉤引き(コーヒキ)をしていたのは見ましたか 
  院長 見ました。私が入った時には看護師がやっておりました。
  弁護人 他にも応援の看護師が入っていませんでしたか。 
  院長 見たように思います。
  弁護人 記憶喚起のためにこちらから申し上げますがH看護師は入っておりましたか。 
  院長 入っておりました。
  弁護人 K看護師長は入っておりましたか。 
  院長 入っておりました。
  弁護人 手術室に入ったとき、加藤医師が圧迫止血をしていたとのことでしたが、その方法を覚えていらっしゃいますか。 
  院長 両手をお腹の中に入れているのが見えただけです。
  弁護人 帝王切開の際、子宮を切開する長さ、面積は分かりますか。 
  院長 ちょっと分かりません。
  弁護人 では、執刀医が双手圧迫している時に、他の人が手を入れるだけの面積はありますか。 
  院長 そんなに入らないんじゃないですかねえ。
  弁護人 全身管理の面で応援を必要だと思ったらH医師が呼ぶこともできるのでしょうか。 
  院長 もちろんです。彼が必要だと思えば呼ぶことができます。
  弁護人 先ほど全身管理は麻酔医の管轄で手術を止めることもできるとおっしゃいましたが、ということは加藤医師の了解がなくても応援を呼ぶことは可能だったわけですよね。 
  院長 あっ、そういう意味か。その意味でしたらH医師の独断でやることはできないですね。執刀医とお互いの了解のもとで行うことですから。

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