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ニュース〜医療の今がわかる

後期研修班会議5

土屋
「文部科学省と厚生労働省の合同検討会でも2年を1年にという話ばかりが先行していて、スーパーローテートが本当に全員に必要なのかについては議論されていない」

岡井
「小泉先生の示した各学会の養成課程の件、内科学会や医師会まで含めると随分いろいろあるが、これはコアの部分が今ないから暫定的にこういうことになっているのか、それとも将来もずっとこの形なのか」

小泉
「これは個人的につくった表なのであれなのだが、米国では総合内科と呼ばれる養成課程があって、それは内科学会の総合内科専門医と家庭医が混じったようなものだが、将来は分担していきたい。その意味ではカナダ式になるのかなと思う。日本医師会との関係についていうと、3学会は未来志向でこれからの養成課程を考えていて、将来的にはこのコースを通らないと開業できないというような仕組みにしたいのだが、どうもその辺りには日本医師会は興味がないらしいので、特に何も言われていない」

葛西
「家庭医の定義が誤解を招くことはあると思う。日本に家庭医を導入しようという話をしても、皆が自分に都合のよい定義をするので、まとまらない。しかしながら諸外国での定義は各学会のサイトを見れば出ているし、それを読めばかなり共通するものがある。ただ医療制度自体は国によってそれぞれ違うので、制度に応用するという話になるとかなり違う。だからといって、家庭医の定義がないとか各国バラバラというものではない。世界を見れば明らかだ。そうはいっても定義するところを先にやろうとするより、具体的に大事なのは国民がどういうサービスのできる医師を求めているのか、まず表現型を優先してカリキュラムを作ってきた。ということを3人の説明に補足させていただいて、そのうえで質問。3学会が合同しようとしているのは、学会の利益のためではなく国民の利益のためと思いたい。そこで、どうやって医師を養成するのか、どうやって医師の質を担保するのか、たとえばプライマリケア学会の認定医は国民の求めるレベルに達していないと思うのだが、それについて学会としてどうするのか。家庭医養成にフォーカスが合っているのか、ぶれていないか」

前沢
「次世代方の理想に近い家庭医像はあって、しかしそこには我々のように専門をやってきた医師としてはなかなか追い付けない、すべての領域をある程度の深さというのは難しいので、そこに多職種協同という考え方で対処しようということで、そのために認定医というものをつくった。その後、修練を積めば専門医への移行もできる。若い人はこれからのプログラムでできる。別の育てられかたをした我々はそれに追い付くように工夫し努力をする」

小泉
「プライマリケアの領域というのは、特殊な専門科のように、その道の人だけ集まれば決められるというものではなく、かなりの程度、社会制度としての医療提供の側面が強い。専門職だけでなく政策的なものによって望ましい医療の姿は変わってくると思う。問題だと思うのは、開業医は専門医より1ランク下というイメージがかなり行き渡ってしまっていること。何らかの形で修練を積み相当のハードルを越えたのだという証がないとそういう領域の臨床ができない形にする必要がある。専門医認定機構も最初は学会のエゴがぶつかり合って大変だったのが、最近はいい議論がされていると聞く。3学会と日本医師会も、そこを基本にディスカッションしていきたいと思っている」

山田
「身内どうしで答えるのも妙な話だが、グローバルスタンダードに則った標準は確かに分かりやすいし、そういった家庭医を育てるという面では日本がやや遅れたのは現状あるかな、と思う。しかし、家庭医の姿というのは医療システムとかなり密接につながったものであり、今の文化・リソースの中で日本型の新しい成果をつくり出す必要があり、それは十分に可能だと思う。3学会と日本医師会それぞれが、その目的のために歩み寄っていこうということで、それぞれの利益を優先しちゃうと面白くも何ともないんであって、将来の日本のためというのを優先して知恵をもっと出し合えればと思うが、実地医療家たちが後進の教育・育成を若干疎かにしていたのかなという印象はある」

ここで川越班員が、在宅でのがんの緩和医療に関して問題意識をプレゼン。
「治療の終わった末期のがん患者たちは、これまで地域の中小病院が受け皿になってきたのだが、病床削減のあおりを受けて、そうした患者たちが地域を彷徨っているという現実がある。中小病院を債券すべしという意見もあるだろうが、私としては地域の医師たちが引き受けるべきでないかと思っている。(略)しかし在宅医療を熱心にやっている人であっても、がんの緩和ケアはダメだという人がほとんど」

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