再生医療の運営費、年3000万円超
臓器移植や人工臓器に代わる切り札として注目される「再生医療」を進めるための議論が、厚生労働省の検討会でスタートした。委員からは「総経費が年3620万円掛かる」「このまま放っておくと細胞培養室が倉庫になってしまう」など、現状を訴える声が上がった。(新井裕充)
再生医療を進める上で必要な施設の運営費について、前川平委員(京都大医学部附属病院輸血細胞治療部教授)は「人材の育成と人件費などの費用が非常に重要。(同大の分子細胞治療センターの)人件費が年1500万円で、(設備や機器の管理費用などを含めた)総経費は年3620万円掛かる」と述べた。
また、大阪大学大学院教授で日本再生医療学会の理事を務める澤芳樹委員は、同大医学部附属病院に設置された「未来医療センター」の運営経費について、「年間3000万円掛かっている。(未来医療)センター長として非常に悩ましい」と訴えた。
厚労省は4月6日、「再生医療における制度的枠組みに関する検討会」の初会合を開き、今後の議論のたたき台を示したほか、再生医療に取り組んでいる委員からヒアリングを行った。座長には、永井良三・東京大大学院教授が選出された。
同日のヒアリングで意見を述べたのは、澤委員、前川委員、森尾友宏委員(東京医科歯科大大学院准教授、細胞治療センター長)、大和雅之委員(東京女子医科大先端生命医科学研究所教授)―の4人。
委員はそれぞれ、患者から採取した細胞を培養・加工する施設(CPC)の運営状況や今後の課題などについて、スライドを使って説明した。
>臓器移植や人工臓器に代わる切り札として注目される「再生医療」
iPS細胞やES細胞などは、いくつかのトライアルのうち一部が組織レベルで分化が認められたレベルに過ぎず、臓器への分化や発がん性の問題などまだまだ克服すべき課題が多いようですね。(マウスだかラットの背中に耳介を作った写真を見た覚えはありますが、きちんと機能する臓器はまだまだ先ですね。)
私はむしろ、ヒトに対する抗原性タンパクをノックアウトしたクローン動物(ミニブタなど)を更に改良した「異種移植」が臨床的には実現可能性としては早いのではないかと個人的には予想しています。あまり抵抗感がなく、急性拒絶反応時にもリカバーしやすい臓器や組織から、まずは始まるのではないかとは思いますが。