火だるまになっても「概ね了承、座長一任」~医道審医師臨床研修部会
西澤
「先ほどから意見が出ている通り、検証がされないままでは議論がしづらい。この制度が良かったという証拠を出してほしい。過去5年間の人がどこにいるのか、全て追いかけて、どこにいてどんな医師になっているのか、ここの議論の場に出してほしい。今日はずっと議論が空転している気がする。前提になるデータがないからだ」
田原
「アンケート調査をするのは20年度に研修を受けた方が対象で、それ以前の方については分かる範囲でなるべくデータを整理するが全部は難しい」
相川
「そろそろ時間だが」
小川(岩手)
「時間が短い中でよくここまで来たとは思う。しかし先ほどから皆さんの意見を伺っても、今回の見直しが完璧でないことは全員が分かっている。5年以内に見直すと書いてあるけれど、1年でも2年でも必要な検討を行って随時見直すべきだろう。それをお約束いただきたいし、ぜひ議事録にも留めていただきたい」
わざわざ「議事録に留めよ」と言うからには、言っておかないと勝手に削除される危険があることになる。もしそんなのが一般的なのだとしたら、委員が正論を言う気もなくなるだろう。困ったものだし、我々の仕事もなくならないということか。
田原
「継続的に検証していくものと考えている。毎年毎年直近のデータをお示しして議論いただこうと思っているし、小規模なものはその都度見直し、5年毎に大規模な見直しを行うという考えでいる。検討を毎年やっていくことはやっていく」
山下
「しつこくて申し訳ない。都道府県毎の定員上限枠は依然として理解できないし、理解できないものを納得もできない。ここでは全て質の議論をしてきた。医師偏在の話とはコンセプトが違う。私はこの導入は時期尚早と考える。偏在を見たって、制度が始まって東京や大阪の研修医が減っている。だったらよいではないかという議論だってあり得る。私は山形だが、努力して地域にのこってもらえるように頑張っている、どれだけ努力してもどうしてもというなら、その時は考える必要もあるだろうが。そもそも研修医も配置と医師偏在とは別の議論だ。研修医がそのまま地域に残るというエビデンスがあれば今回の枠も説得力があるが、医籍登録した時点でどこかへ行ってしまう可能性だってある」
相川
「今日かなりご意見をいただいて、それからパブコメでも方向性として色々な意見があったが、それに対しては、案に関して赤字の修正を加えるということだった。概ね皆さんにもこの案でご了承いただけたかと思う。いただいたご意見に関して、期日も迫っているので、どのように反映するのか部会長に一任いただければと思うが、よろしいか」
さすがに異議は出されず、相川部会長は大役を果たし終えた。議事運営の過程で話をねじ曲げたりはしなかったけれど、しかし最後、強引に辻褄を合せてしまったことは議事録にも残る。こんな流れになると知っていたら、果たして部会長を引き受けただろうか。とんだ貧乏くじを引かされたものだと思っているのでないか、と同情に堪えない。