「会長がいじめられる」―DPC分科会で"作戦会議"
■再入院率について
【齊藤壽一委員(社会保険中央総合病院名誉院長)】
医療サービスのレベルと再入院率を相関させるのは難しい要素が多い。「計画的な再入院」なら医療サービスの低下がないというが、逆にどういう理由なら、再入院率の増加は医療サービスの低下を示したと想定するのか? いじわるな質問だが。
【保険局医療課・宇都宮啓企画官】
今回は、医療の質が下がっていない理由として、「計画的再入院の増加」と申し上げた。抗がん剤の投与など、「当然、再入院するだろう」というケースがほとんどなので、再入院率が増加している。医療の質が悪くなるのは、逆に、「予期せぬ再入院」で、合併症など別の病気で再入院する場合。今回は、そのようなケースが減少しているので、質の低下はない。
【齊藤委員】
「予期せぬ再入院」という言葉が引っかかる。これは誰が「予期」したと考えるのか。主治医か。どういう格好で調査して、数値に落とし込まれたのか。主治医に質問票などを送ったのか。
【保険局医療課・宇都宮啓企画官】
配布資料の別紙1(調査票)をご覧いただきたい。そこに、「予期せぬ再入院」の例(予期せぬ疾患の悪化・再発のため、予期せぬ合併症発症のため、他疾患発症のため、その他―の4つの選択肢)」を挙げている。
2ページに、「予期せぬ再入院」の具体例を示しているので、これを見て判断していただいた。
【齊藤委員】
「予期せぬ再入院」が増えたからといって、それがサービスの低下を反映していると考えるのは危険ではないか。患者のニードは変わっていく。「早く退院させてほしい」という患者が地域で増えており、長期入院を避ける傾向がある。将来、「予期せぬ再入院」が増えたからとって、「ほれ、質が低下した」とは言えない。
【保険局医療課・宇都宮啓企画官】
まさに、その通り。別紙1の2ページに「予期せぬ再入院」の具体例として①~④の事例を示した。このうち、悪い再入院は、 ②の「予期せぬ合併症発症」、または①の「予期せぬ疾患の悪化・再発」。「風邪をひかないようにとの注意を受けていたが、心不全になるとの説明は受けていなかった」というのは好ましくない。
※ ①の事例は、「前回、虚血性疾患で入院、治療を受けて軽快退院。退院時、風邪をひかないようにとの注意を受けていたが、心不全になるとの説明は受けていなかった。退院1か月後に風邪をひき、心不全になったので入院」
③(他疾患発症)のように、入院していたときの病気とは関係がない理由での再入院。高齢化で、複数疾患の発症は当然にあり得るので、もし、「予期せぬ再入院」が増えてきたら、もう少し細かく見ていく。
※ ③の事例は、「前回、白内障のため眼内レンズ挿入術を受けて退院。その5日後、急性心筋梗塞を発症して入院」