「会長がいじめられる」―DPC分科会で"作戦会議"
「基本問題小委員会で分科会長がいじめられる」―。5月20日に開かれる中医協・基本問題小委員会を前に、DPC評価分科会で"作戦会議"が行われた。「DPCの導入によって医療の質は低下していない」との報告に対し、DPC(入院費の包括払い制度)を批判している日本医師会はどのような主張を展開するだろうか。(新井裕充)
中医協のDPC評価分科会(分科会長=西岡清・横浜市立みなと赤十字病院長)は5月14日、「平成20年度・再入院(再転棟)にかかる調査(案)」を大筋でまとめた。
同分科会は中医協の調査専門組織で、"親会議"に当たるのが診療報酬基本問題小委員会。
今回の調査は、DPC導入によって医療サービスが低下していないかどうかを、「再入院」「再転棟」の頻度などを指標にして判断するために実施した。
調査によると、再入院率が増加する傾向は依然として続いていた。厚労省は再入院が増加した原因として、「計画的再入院の増加」を挙げ、「再入院の中で悪いのは『予期せぬ再入院』だが、『予期せぬ再入院』は減少しているので、医療の質は低下していない」と説明した。
一方、DPCを算定している病棟からいったん別の病棟に移した後、再びDPC算定病棟に戻す「再転棟」の割合(再転棟率)については、「全体の0.08%と非常に少数だった」とまとめたが、委員から「0.08%という数字に意味はない。文言を修正した方がいい」などと求める意見があった。
昭和大医学部名誉教授の吉田英機委員は、再転棟率が高い病院の多くがケアミックス病院であることを指摘した上で、大学病院などの特定機能病院と、ケアミックス病院を分けて説明することを提案。「医師会が問題視しているそうだ。こういう表現にすると、(中医協)基本問題小委員会で、分科会長がいじめられるんじゃないか」と懸念した。