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産婦人科医の労働拘束時間、月平均372時間-日産婦学会調査

 病院で働く産婦人科医の労働環境について、オンコールなども含めた月平均の拘束時間が372時間に上ることが日本産科婦人科学会(吉村泰典理事長)のまとめで分かった。当直回数も大学病院で月平均4.9回となり、同会は「法令基準を大幅に超えて勤務している医師が多数存在している実態が示された」との見解を示している。(熊田梨恵)

 調査は昨年、病院に勤務する産婦人科医の労働実態を把握するため、卒後研修を実施する750施設に実施された。大学病院の182人、当直を行う一般病院364人、当直のない一般病院80人から1か月間の勤務実態のデータを得た。今後の労働環境の改善を目的とした調査のため、「労働時間」ではなく、病院にいる在院時間やオンコールなどで拘束される時間、アルバイトの時間なども含めて調べたことに特徴がある。「在院時間」には、休憩時間、宿直時間、時間外の診療時間などがすべて含まれる。「当直」は、予定されていた日に当直した場合のみをカウントし、重症患者への対応などのために臨時で泊まった場合は含んでいない。「休日日直」も、決められた休日の日勤帯に在院した場合を数えた。
 
 当直のある一般病院の月間平均在院時間は295時間で、オンコール時間は88時間と、労働のために拘束されるのは383時間に及んだ。当直がない一般病院の在院時間は255時間で、オンコール時間は166時間と、421時間の拘束時間。大学病院は在院時間が259時間だったが、他病院で非常勤として働く時間が月平均53時間あり、312時間の拘束時間だった。
 当直のない病院の在院時間は、当直のある病院や大学病院に比べて少なかったが、オンコールの時間が当直のある病院のほぼ倍になっていた。

 当直回数は、一般病院は月平均3.9回で日当直が1.2回。大学病院は当直が4.9回で日当直が1.4回だった。病院が労働基準法上の宿日直許可を受けている場合は、宿直勤務は週1回、日直勤務は月1回が限度とされている。同会はこの現状を労基法に反した状態になっているとして、「超過勤務についても同様の実態があると考えられる」との見方を示している。

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