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「全国医師ユニオン」発足―全医連が国内初の医師労組を設立

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 全国医師連盟(全医連、黒川衛代表)は6月8日、都内で集会を開き、勤務医の労働組合の「全国医師ユニオン」を設立したと発表した。医師が個人で加入する全国規模の労組は初めてになる。代表に就任した植山直人氏(老人保健施設みぬま嘱託内科医)は、「医療人が団結するのが今ほど重要な時はない。全国医師ユニオンに入っていただき、日本の医療のためにともに戦っていただきたい」と呼びかけた。(熊田梨恵)

 全国医師ユニオンは5月16日に、全医連の会員8人で結成された。事務局長には全医連執行部の三輪高之氏(北津島病院精神科医師)が就いた。
 
 ユニオンはオンコールも含めた週48時間労働の実現を長期目標に据えており、スローガンは▽過労死を招く過剰勤務をなくす▽当直を時間外勤務と認めさせる▽主治医制を担当医制へ変えさせる-の3本柱。今後は各政党へや関係省庁への働きかけを行うほか、会員の相談に応じた勤務環境の改善に向けた団体交渉、モデルケースの情報発信、ユニオンに重要な労働関係裁判への支援、会員が過労で病気などになった場合の家族への支援、調査・研究活動を行う。毎年11月に定期総会を開く。
 
 ユニオンは国内に約18万人いる勤務医の半数の加入を長期目標としており、当面は全国医師連盟の会員を中心に呼びかける。加入は随時受け付けるとしている。
 
 11月までに実施していく具体的な活動としては、▽必要に応じた社会保険労務士や弁護士紹介のシステムづくり▽会員専用のホームページや会員誌などによる情報提供▽定期的な学習会、相談会の開催▽医師労働に関するパンフレットや、会員が自身で労働時間を把握するための手帳の作成▽他の労働組合との学習会開催―など。
 
 植山代表は、これまでは病院管理者側と医師側の双方に労働環境改善のための努力が欠けていたと指摘。その上で、長期的には勤務医のいるすべての医療機関にユニオン支部をつくりたいとして、「医師のナショナルセンターとして労働環境改善のための役割を果たすことが目標で、医師組織のパラダイムシフトを行う」と述べた。また、日医について医師の意見を代表する組織にはなっていないと主張し、「ユニオンが勤務医の9割を組織すればほぼ医師会と同じ規模になる。5割の医師を組織してその医師の多くが医師会に加入すれば、勤務医を中心とした執行部体制ができる可能性があり、日医のパラダイムシフトも可能」とも述べた。


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