入院できる急性期病院が減る? 増える?―DPC退出ルール決定で
■ 「周知が必要」、DPC病院が増えるから?
[竹嶋康弘委員(日本医師会副会長)]
座長のご指示というか、おはかりで、このようにまとめていただいたということで、まずは感謝。総体として、診療側としてはこれを受けさせていただきたいと思う。
個人的に1つ、3ページの(3)、「退出する病院の周知」について。「退出する場合は、速やかに患者及び関係者に周知する」とあるが、「関係者」もいろいろある。「ここのところは......」というのは、何かあるか。
[遠藤委員長]
「関係者って誰ですか」ということ。
[竹嶋委員]
全部じゃなくていい。最低ここの部分は......という......。
[宇都宮企画官]
医療機関の関係者、あるいは支払機関の関係者を想定している。
[遠藤委員長]
竹嶋委員、よろしいだろうか。
[竹嶋委員]
はい。
[遠藤委員長]
ありがとうございます。庄司委員、どうぞ。
[庄司洋子委員(立教大大学院教授)]
多少、それに関連することで質問したい。参加ないしは退出の場合の「速やかに患者及び関係者に周知する」とあることについて。
患者の側から見た「DPC」というものだが、1つは、これが導入されるに当たって、患者ないしは国民にどう説明され、どう伝わっているのか。あるいは(伝わって)いないのか。
これ、ほかのいろいろな改定に比べると、患者一般にとって分かりにくいことではないかと思う。明細書(の発行)とか、そういうものの方が、これがあればこういう風に助かるとか確認できるとか。
そういう意味で、診療を受けるときに、こういうもの(DPCからの退出?)がどのように掲示されるか。要するに、「変わった」ということは分かると思うが、患者の側は、これによって何がどう良くなるのかまずいのか、そういうことを多少は考えるが、それ(掲示)だけでは分からない。
そういう意味で、今まで受診側には、どう、この変更の......、まあ何て言うか、改善点というか、良さとして、何が伝えられてきたのか。今後、このことを国民の理解を得るために、どういう観点から広報、PRをしていくのかとか、そういうことについて、今までどういう議論があったのか。あるいは現状どうなっているのか、ちょっと尋ねたい。
[宇都宮企画官]
具体的にどう伝わっているか、個々の病院についてきちんと把握している訳ではない。少なくとも、平成15年度DPC対象病院、平成16年度DPC対象病院など、試行的に導入された時には、「こういう風に支払い方法が変わった」というポスターのようなものを作って、それを掲示していたと理解している。
ただ、それが一人ひとりにどれぐらい届いたかは把握していない。確か、西岡(清・DPC評価)分科会長の所で、満足度調査のようなものを実施した。(DPC)導入前後で変わったかどうかまでを調べたのかどうか、その辺は分科会長から補足していただきたいが、そういう調査も実施したことは聞いている。
今後、DPCの在り方を議論いただいたときに、「効率化と透明化は評価できるが、患者の満足度は総合的に検証していくべきだ」みたいなご意見を頂いている。そういったもの(患者満足度)も、今後は調べていきたい。
[遠藤委員長]
急性期病院の入院の包括化になることの、患者さんに対する周知、国民に対する周知。国民に対する周知は厚生労働省の仕事だと思うが、個々の医療機関がどのような形でやっているのかということも、1つの質問だったと思う。
それに関連して何か補足があれば、西岡分科からお聞きしたい。
西岡分科会長]
平成15年度、平成16年度の(DPC対象)病院を対象にして、満足度調査を行った。「大いに満足している「満足している」を含めると、80%以上の方の満足度を頂いている。きっちりした数字はちょっと覚えていないが、かなり高い満足度を患者さんから頂いている。
それから、導入に当たり、厚労省からいろいろなポスターを掲示していただいたと同時に、各病院が入院される患者さんに対して、「医療費は薬代や検査などの高いものでないのはホスピタル・フィーに含まれる」といった説明を、(DPC)スタート前にかなり行っている。
入院するたびに、「こういう支払い方法になっています」ということを説明して、それを了解してから入院していただいているのが現状ではないかと思う。
[遠藤委員長]
ありがとうございます。庄司委員、どうぞ。
[庄司洋子委員(立教大大学院教授)]
どういう風になっているかが、ちゃんと知らされているということ、それから一定の満足度が得られる結果になっていることは、重要なことだと思うが、私の関心事は、むしろ......。
満足度というのは、ある程度分からなければ、その満足度が信頼できるかが分からない。やっぱりこのDPCというのは非常に分かりにくさがあって、例えば検証の結果として、入院期間が全体的に短くなっているとか、そのことによって急性期病院が本来の急性期に対応できるような条件が進んでいるとか、そういうことが言えるとしても、患者の側からすると、少し入院期間が短くなることが、「自分にとってはどうなのか」とか、そういう受け止め方をする。「国民一般にとって」ということだけではない。
大きなことは、先程、医療の透明化ということをおっしゃった。標準化されて、分かりやすい安心した医療が受けられると。しかし、本当にそういうことがどのぐらい、きちんと国民に向かって情報を発信できるかが重要だと思う。今後、DPCというのは、国民的理解を得るために、どういう方向できちんと広報していくかを考えていきたいし、いただきたいと思う。
[遠藤委員長]
ありがとうございます。つまり、今度はDPC対象病院がかなり増えるということなので、「そもそもそれは何なのか」ということの周知を徹底してほしいと、そういうご意見だと思う。