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韓国の患者会は、こうして成果を挙げた ~グリベックの場合


ここからパネルディスカッション
 
〔田中〕
 大谷さんは骨髄フィルター欠品の時にも署名活動をされていた。あの解決には、署名に大きな意味があったと思うのだが、先ほど反省を口にされたのはなぜ。

〔大谷〕
 署名が大きいとは思う。ただグリベックに関して気にはなってたけど、どうしてよいか分からなかったというのが正直なところ。治療法があるからいいやん、お金で解決できるやんというのがあった。骨髄フィルターはなくなっちゃったら治療できなくなって命に直結する話だった。

〔田中〕
 いずみの会でも署名活動をされていたと思うのだが、それはどうなったのか。

〔田村〕
3ヵ月処方できないかという声で署名を集め始めたのだが、よくよく調べてみると薬には3段階の刻みがあって最長60日という薬もあるけれど、グリベックは3ヵ月処方できる薬だった。なので2000筆ぐらい集めたけれど、既にできている患者が多かったので、3ヵ月できることを公にしようということでwebを作ったりした。制度の壁は分厚いと思っていて、署名を厚労省に持っていくとやぶ蛇になりかねないと思った。

〔野村〕
 実は、田村さんたちが署名をしているので、なぜそんなことをということで3ヵ月処方できることに気づいて助かった。知らなかった人も多い。私もインターフェロン歴17年になるが目からウロコだった。我々の署名の方は、これを通じてこんなに高いのかとか、とか知ってもらえるといいと思っている。実際、高額療養費制度なんてあるのという患者さんまでいた。

〔田中〕
 野村さんたちの署名は何かきっかけはあったのか。

〔野村〕
 フェニックスクラブは大谷貴子ファンクラブのようなふわーっとした闘わない患者会だった。しかし昨今の経済情勢で薬代を払えないという声が聞こえだした。東北の方でパスタ屋さんをやっている人で、仕入れの代金のことを考えて薬を休んだら3ヵ月で急性転化してしまったという人もいる。今は元気を取り戻しているけれど、そういう人が出てきたので、明るく楽しくま前向きにというフェニックスクラブは残して、それと別にやろうということになった。だから、きっかけはこの制度と不況だ。正直、患者会にアクセスしてくる人は恵まれている。僕らが捕捉出来ない患者が大勢いる。厚労省の統計でも所得300万円以下の人が相当数いるので、なかなかそういう人に届かないから署名をしているというのもある。

〔田中〕
 薬価に対して患者が働きかけるというのはグリベックだけの特別なことなのか、それとも韓国では普通のことなのか。

〔姜〕
 問題があると考えられる時は、薬価だけでなく保険や流通の条件まで含めて要求する。2年前に出たスプライセルの時も、肺がんのイレッサの時も、薬価を下げさせた。

 その際は、薬の効果に関して、FDAの資料だけでなく欧州のデータも取り寄せて効能効果を私たちが変えさせて、その対価として薬価を下げさせた。我々にとっては勝利だが、製薬会社にとっては恥ずかしい話だろう。薬価、効能、流通すべてを患者が監視して、問題提起して、制度がなければつくり、法律をつくってで活動している。

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