文字の大きさ

ニュース〜医療の今がわかる

韓国の患者会は、こうして成果を挙げた ~グリベックの場合


〔大谷〕
 薬価を国民が下げさせているということに本当にビックリしている。全部の薬でそれができるならいいのだけれど、しかしあんまりそればかりだと製薬会社から薬の供給を放棄されて殺されるんでないかとネガティブな印象も持ってしまう。

〔田中〕
 そこら辺は問題ないんだろうか。

〔姜〕
 問題があるかないかではなくて、むしろ他の話をしたい。本当に難しいのは内部で外の問題ではない。3年近い闘いの中で最も難しかったのは韓国ノバルティスの社長と面会した時だった。社長は、ノバルティスの主張通りの薬価を認めたら、患者が自己負担する3割分はノバルティスが払うと言った。タダで手に入れることができるようになるわけで、妥協しようかとも思った。患者としてどうするのが正しいのか一晩中考え通して、考えをホームページに載せた。

 私たちが今までどうして闘ってきたのかと問いかけた。薬価を下げるためだったのか、タダで服用するためか。我々がタダで手に入れたとして、その代わりに負担するのは誰か。製薬会社か。いや違う。残りの7割を高いまま税金で負担させられる国民ではないか。その代わりに我々が負担無料になるようなことは絶対にしてはならない、と。我々は薬価を下げて国民の負担も下げたいと思って活動してきた。この判断は今でも正しかったと思っている。ノバルティスの社長は、あなたがたは本当に患者の団体なのかと驚いていた。無料にすると言っているのに、どうして拒否するのか、と。

 難しい点は利己主義だ。自分の家族、自分の体だけを考えたなら、皆さんの活動は成功しないだろう。たとえ成功したかに見えても、それは一部の部分的なものに過ぎないだろう。

〔田中〕
 崔さんも一緒に同じような活動をしたのか。

〔崔〕
 同じように参加した。これは他人事ではなくて自分のことなので、心を合わせ力を合わせればもっと大きな力になると思った。もっと多くの人たちに参加してもらうために、通院している病院の外来に来る人たち患者たちに参加するよう呼びかけた。皆さんが力を合わせて運動すれば大きな力になる。力を合わせないと政府は動かない。政府の思い通りにされてしまう。

 このような考えをもって患者会で行動した。しかし普段は主に楽しいイベントをしたい会なので今後も楽しくやっていきたいと思っている。そして時に姜先生に申し訳ないなと思うこともある。今後も患者さんに力を合わせてほしいようなことが出てきたならば呼びかけ続けていきたい。

〔大谷〕
 グリベックの問題に関して、私にできることがあるならということでやっていたけれど、しかしこれはやはり当事者がもっと何とかすべき問題だと痛感した。誰にも相談せずに思いつきで言っているけれど、当事者のリストをつくりたい。8000人いるはず。その声をどうやって集約するか。ネットで発信しているけれど、まだ全然来ない。

 日本の場合、代議士のところへ出かけて行って自分がそうなんだ、と言うと、票になると思うのかもしれないけれど意外と動く。この会終わったらサーっと帰るのではなく、自分たちでも何かやろうと思うのなら、皆さんの個人情報をここでPtSupportに落としていってもらえないか。

  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
loading ...
月別インデックス