日本看護協会の見解 ― 6月16日の記者会見
■ 「短時間正職員制度」について
―― 朝日新聞のコムロと申します。
資料3の「短時間正職員制度」の関係で、2点教えてください。まず1点目は、(日看協の調査によると)現在、短時間正職員制度を「既に導入している」施設は17.7%、「導入を検討している」は18.9%とありますが、この数字の評価を教えてください。
【参考】短時間正職員制度とは[小川忍・常任理事]
短時間正職員制度は、通常のパートタイマーとは異なり、正規雇用の職員に近い雇用形態です。
○雇用期間の定めがない(常用雇用) ○社会保険の適用 ○退職金の支給(正規雇用に定めがある場合) ○昇進昇格、育児・介護休業の適用 ○教育訓練や福利厚生の適用などが正職員と同様で、給与は正職員との勤務時間の違いを反映して認定されることなどが挙げられます。
[日本看護協会 2008 SHOKUBA SUPPORT BOOK より]
「短時間正職員制度」の普及を始めてから、2割近くが導入しているということは、前向きに現場が進んでいるということで評価しています。
[久常節子会長]
今、(育児・介護休業法改正案が)国会で検討されていますよね。3歳以下の子ども(がいる労働者を対象とした短時間勤務制度の導入)......。
あれがもし、国会で通った場合には101人以上の従業員がいるところでは義務化になりますので、それが済めば、簡単に2割とか3割という話ではなくなってくるんだろうと思いますが、義務化という前提がない医療の世界では、少しずつ増えているのかなということで、決してそんな素晴らしい話ではないですよね。
―― 関連してもう1件お聞きしたいのは、既に正職員の方が短時間勤務に移るという計算もあると思います。
例えば、パートタイマーの人の雇用形態が短時間の正職員に変わる。あるいは、最初からフルタイムではなく短時間の正職員として採用されるというケースはまだまだ限定的なのかなと推察しますが、こういった就業形態がさらに拡大するには、どのような課題が考えられるのかを教えてください。
[小川忍・常任理事]
現在、正規職員として働いている方が「短時間正職員」になる場合もありますし、新たに「短時間正職員」が採用される場合もありますし、いわゆる非常勤のパートの方が正社員化する場合もございます。
(今回の調査では)どのような実態なのかを調査しておりませんので、全国的な状況を把握していませんが、見聞するところによると、それぞれいろいろなパターンがあります。
また、1日8時間ではなく5時間、6時間という形態もありますし、あるいは週3日という形もあります。あるいは進学支援という形で、夏休み期間中はフルタイムだが学校がある時は短時間で働くなど、いろいろな形態があると聞いております。
では、どのようにすればうまく進んでいくか。まだこの制度を知らない方が多いんですね。今回の調査結果でも、「短時間正職員制度」を導入する予定がない施設が5割以上(57.6%)もある。この制度自体を知らないということと、いろいろな誤解があります。「コストが掛かるのではないか」とか。
それから、「フルタイム職員にしわ寄せが来てしまうのではないか」という考えも多々あります。そこで、どのようにすれば成功するのか、われわれが普及に努めていきたいと思っています。意識改革の問題も含めて、あるいは制度の周知も含めて取り組み課題はあると思っています。
[井伊久美子・常任理事]
よろしいですか。では、どうぞ。