日本看護協会の見解 ― 6月16日の記者会見
■ 「7対1」以上の要望、特養のモデル事業について
―― メディファックスのサクラギと申します。
診療報酬改定についてお聞きします。要望書を近々出されるということですが、入院基本料について「7対1」以上の配置を求めていく考えはあるのか、次回の診療報酬改定で求めていくのかということが1点。
あと1点は、特別養護老人ホームの看護職員と介護職員の連携によるケアの在り方が(厚労省の会議で)検討されていますが、介護職員が喀痰吸引と経管栄養をできるモデル事業をする方向性が決まりました。この点について、日本看護協会のお考えをお聞きしたいと思います。
[齋藤訓子・常任理事]
ご質問、ありがとうございます。1つは、診療報酬上で「7対1」以上のさらなる手厚い配置を要望するのかという質問と認識しました。急性期医療の実態に合わせていけば、確かに「7対1」でも手が足りないという声は現場から聞いています。
ただ、それが即座に次の段階かと言うと、また「7対1」の時と同じように(看護師)確保の問題が出てきますので、このたびは、まずはナースの多様な働き方を導入できるような仕組みを何かできないかということで、そこを重点的に要望していきます。
2点目の特養のモデル事業については、検討会の中でも出ましたように、特養の施設ができた当時のような状態の患者さんが入所しているということではなく、医療の大きな改革の中で、医療依存度の高い方々が入所されているという現実があろうかと思います。
ただ、その状態だからむやみに介護職にやっていただくかというと、そうではない。入所者の安全性を必ず担保した上で、どう連携するかということをモデル事業で、口腔内の痰の吸引と経管栄養の2つの行為に限定して、まずはモデルで検証しましょうということでございますので、そのモデル事業の中で、どういったことが安全性を担保するのかということをきちっとガイドライン等の中に入れて、望ましい連携の在り方はどういうことなのかを模索していきたいと考えています。
[久常節子会長]
痰の吸引に関しましては、看護職がやっても非常に危険な痰の吸引もあります。あくまでも、「口腔内ということに限定して」ということを強調していただくとありがたいなと思います。
もう1つ、診療報酬の問題で、「7対1」以上の配置を考えるかということですが、ある領域では、「7対1」以上の配置(の評価)を必要としている病院があることはよく知っていますが、今回、私どもは専門性の高い看護職の配置ということを......。
従来は(看護師の)数。全部、数ですよね? それだけではなくて、新しく専門性の高い看護職の配置、そういうこともやっていくことが医療の効果や医療事故の減少などに影響力があることが分かっていますので、そういうものをきちんと位置付けていくような新しい仕組み、配置を考慮していただきたいな、ということが要望の第一です。
―― あと1点だけ、特養の件でお聞きしたい。
日本医師会が口腔内の痰の吸引と経管栄養を医行為から外したらいいのではないかというようなコメントをしていました。医行為は看護職員も関係していますので、何かご見解があれば。
[齋藤訓子・常任理事]
検討会でも意見が出ていましたが、一連の流れの中で、この部分が医行為であるとか、ここは違うということには現行法上なっていない中で、口腔内の痰の吸引等は(通知を出して)外せばよいという発言だったと思います。
素直に、「そうなのか」と言われれば、いろいろと検討をして整理をしなければならないという状況だと思います。「従前の医療行為の定義で、すべてがそうなのか」と言われると、そこはやはり検討の時期には来ているんだろうと考えますが、日本看護協会としてはまだ、そこに踏み込めるような見解はないという状態です。
[井伊久美子・常任理事]
それでは、もうあとお1人ぐらいは大丈夫かと思いますが、いかがでしょうか。
―― マキ事務所のマキと申します。
診療報酬改定についてお聞きします。DPCの「調整係数」の廃止で、「新しい機能評価係数」について検討されていますが、「新しい機能評価係数」については何か、日本看護協会として提案されているのでしょうか。(DPC評価)分科会には、嶋森(好子・慶應義塾大看護医療学部教授)さんが出ていますが、「新しい機能評価係数」について何かありましたら教えてください。
[齋藤訓子・常任理事]
嶋森委員が分科会に出る際に、私どもといろいろと協議した上で提案しております。嶋森委員が発言したことが、私どもの意見を反映していると考えていただいて結構でございますが、「調整係数(ママ)に反映できたのか」と言うと、残念ながら、「なかなか難しかった」という状況でございます。
[井伊久美子・常任理事]
よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。まだ、もう少し時間はありますけれども......。
それでは、これをもちまして、本日の記者会見のすべてのスケジュールを終了させていただきます。どうも、ありがとうございました。(以下略)