在院日数短縮した回復期病院も-東京都脳卒中連携パス会議
■重症度による患者選別でなく、リスク管理能力で見極めを
社会医療法人財団大和会武蔵村山病院リハビリテーションセンター 石神重信センター長
去年1月にパスを立ち上げた。入院受け入れに関しては、できるだけ審査を迅速にして、年齢や重症度による入院制限枠を設けない、断らないようにしている。そして在宅復帰を目的にする家族の患者を受け入れるというのが中心。スタッフは、リハ医2人、内科医1人、脳外科医1人、歯科医1人。理学療法士28人、作業療法士15人、言語聴覚士5人、医療ソーシャルワーカー5人、臨床心理士1人、口腔衛生士1人。スペシャリティとしては脳卒中や嚥下リハ、高次脳機能、義肢装具。短期集中リハでADLを自立を目指し、ベッドサイドリハ、病棟での訓練を主体にしている。
2008年4月から、09年4月までの入院患者394人についてのデータを示す。脳卒中患者が54.8%、大腿骨頚部骨折は22.6%、廃用症候群は20.3%、その他2.3%。08年1月1日から6月30日までの回復期リハ病棟は、患者総数160人、平均年齢71.3歳、脳卒中患者の平均入院期間は52.3日、大腿骨頚部骨折は35.3日。在宅復帰率は87.6%、FIM効率は0.45。これまでの回復期リハ病棟は大体このレベルを保っている。
昨年4月から今年3月まで、脳血管疾患の患者は216人で、このうち連携パスが使われたのは98人。ファクスを受け取ってから入院見学し、入院までの平均期間は8.0日。入院患者は、08年度は北多摩西部から135人、北多摩北部から33人、北多摩南部から26人、西多摩から29人。私たちの病院は52床だが、多くの地域からの受け入れが増加しており、合同連携パスが必須という状態なので、できるだけ急いでほしいというのが実際の状態。
パスの適用率は45.4%。管理病院の協力があって、10月から3月までは大体50%を超えた。現場の医師は「すべてを受ける」というのが前提なのでパスのあるなしというのは意識していない。
連携パスについて回復期が抱える大きな問題としては、迅速な引き受け体制を整備するということ。現状は満床の状況でなかなか引き受けが厳しい。回復期では入院審査で重度差別が行われているというのが一般的なものの見方だが、やはり回復期は患者のリスクの管理能力に対してある程度明確な位置付けをしないといけない。今は多くの病院から重症例を引き取っているという状態で、後期高齢者が多く、発症からの機関の短縮は今の段階ではあまりない。ただ、地域連携パスによって明らかに短縮していると思うので、今後を期待したい。今は3つの連携パスに乗っていて、60-70%の患者がパスを使用している。DPCについては、「廃用症候群」という病名を作ってもらい、入院期間から漏れてしまう患者を救いたい。後期高齢者は糖尿病や高血圧、肺疾患などのリスクを抱えていて急変が多いので、医療も医師も必要。ただ、包括払いにされてしまっているので、胃ろう増設や透析などが必要になったりすると他の医療機関に行かないといけない。しかし、送ってもらった病院に送るなど、転院や転科は容易ではない。現場の医師も医療よりも書類書きで疲弊してしまっている。リハについて、毎日9単位のリハで効果が上がっているということは専門家としてはどうかと思う。