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中央社会保険医療協議会 (中医協) ― 09年度第9回(7月15日)

■ DPC「新たな機能評価係数に係る特別調査案」
 

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授)]
 ただ今より、第138回中央社会保険医療協議会・診療報酬基本問題小委員会を開催する。本日の出欠状況だが、本日は全員がお見えになっている。

 始めに、DPCについて「新たな機能評価係数に係る特別調査について」を議題とする。DPCの議論については、診療報酬調査専門組織のDPC評価分科会と連携しながら議論を進めてきたので、本日もまた西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)にご出席いただいている。

 本日はまず、西岡分科会長から「新たな機能評価係数に係る特別調査」に関するDPC評価分科会での議論の中身についてご報告いただき、それを踏まえて議論いただきたいと思う。

 それでは西岡分科会長、よろしくお願いいたします。

[西岡分科会長]
 よろしくお願いいたします。まず、資料「診─1─1」(新たな機能評価係数に係る特別調査案)と、「診─1─2」(新たな「機能評価係数」の絞り込み案)をご覧いただきたい。

< 新たな「機能評価係数」の絞り込み案 >
 

 「診─1─2」(新たな「機能評価係数」の絞り込み案)は、既に当委員会で(6月24日に)ご議論いただいたもの。そのうちのローマ数字のⅡの所に、「次期改定での導入を検討するため、更にデータ分析や追加の調査を実施すべきとされた項目」というのが挙がっている。

Ⅱ.更にデータ分析や追加の調査を実施すべき項目
1. 救急・小児救急医療の実施状況及び救急における精神科医療への対応状況による評価
2. 患者の年齢構成による評価
3. 診療ガイドラインを考慮した診療体制確保の評価
4. 医療計画で定める事業等について、地域での実施状況による評価
5 .医師、看護師、薬剤師等の人員配置(チーム医療)による評価
6. 医療の質に係るデータを公開していることの評価
このうち、黒丸の数字が付いているもの(指標)について調査を行う。
1. 救急医療 → 複数の診療科における24時間対応体制
3. 診療ガイドライン
 → ① 診療ガイドラインを明示して患者へ治療方針の説明を行っているか
   ② 診療ガイドラインから逸れた診療を行う場合、十分に検討をするための委員会等が設置されているか
   ③ 患者及び職員が診療ガイドラインを閲覧できる体制・設備が整備されているか
5. 医師、看護師、薬剤師等の人員配置(チーム医療)
 → ① 病院に勤務している各職種の職員数 / 全DPC対象患者
   ② 病棟に勤務している各職種の職員数 / 全DPC対象患者
6. 医療の質に係るデータの公開
 → 特定のデータ(医療の質の評価等につながる項目)の公表を行っているか
 特に、6の「医療の質に係るデータの公開」に関しては現在、「MDC毎班会議」(座長=齊藤壽一・社会保険中央総合病院名誉院長)で項目の絞り込みを行っているので、ここでは挙がっていない。

 ▼ 「MDC毎班会議」で検討するので、今回の調査対象にはしていないという意味。恐らく、医療の質はクリティカルパスの公開で評価するのではないか。

< 新たな機能評価係数に係る特別調査案 >
 

 (資料)「診─1─1」(新たな機能評価係数に係る特別調査案)をご覧いただきたい。こういった形の調査をしてはどうかということで、ご提案させていただく。(中略。資料に沿って説明)

新たな機能評価係数に係る特別調査について(案)

 中医協基本問題小委員会及びDPC評価分科会における、「新たな機能評価係数」に係る議論の結果、「医療機関の負担が少なく速やかにデータを把握することが可能なもの」については、今後、追加で調査を行い、実態を把握することになっている。
 このため、以下の要領で特別調査を実施することとしてはどうか。
1.調査の対象及び方法
 全DPC対象病院及びDPC準備病院に対し、アンケート調査を実施
2. 調査の時期
 平成21年7月の1週間
3. 調査項目
(1) 救急医療の診療体制について
  ① 救急医療の提供レベル等
      (1次救急/2次救急/3次救急、常時/輪番日のみ等)
  ② 救急医療の提供体制 (診療科名、夜間勤務体制等)
(2) 診療ガイドラインを考慮した診療体制確保について
  ① 治療方針の決定に当たり、診療ガイドラインを参考としている程度
  ② 患者に対する治療方針の説明等での、診療ガイドラインの利用の程度
  ③ 実際に参考としている診療ガイドライン名称
  ④ 参考としている診療ガイドラインの選択基準
  ⑤ 診療ガイドラインに沿わない診療を行う場合の、適否の判断方法
     (病院として設置する委員会での判断/複数診療科によるカンファレンスで判断/
     診療科毎のカンファレンスで判断/担当医師の判断等)
  ⑥ 患者及び職員が、診療ガイドラインを閲覧できる体制の整備状況
(3) クリニカルパス(院内)を用いた診療について
  ① 作成しているクリニカルパス(院内)の種類、病名等
  ② リニカルパスの対象となる患者数
(4) 医師、歯科医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、社会福祉士の人員配置(チーム医療)について
  ① 医師を含む複数職種によるカンファレンス等の開催状況
  ② 病棟に勤務している薬剤師、管理栄養士、社会福祉士の人数 (常勤換算)
  ③ 病棟に勤務している薬剤師、管理栄養士、社会福祉士について、全勤務時間のうち病棟に勤務している時間の割合

 ▼ 7月6日のDPC評価分科会で提案した特別調査案では、「クリニカルパス」は診療ガイドラインの⑦に入っていた。また、「クリニカルパス」ではなく、「クリティカルパス」と表記していた。それ以外は変更なし。

 以上の調査項目についてご了承いただければ、時間もないので早速調査に入りたいと考えている。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 ありがとうございました。事務局(保険局医療課)、何か補足することはありますか。

[保険局医療課・宇都宮啓企画官]
 はい。医療課企画官でございます。西岡分科会長からご説明いただいた項目は、以前、(新たな機能評価係数の候補を)A、B、Cの3つに分けた時のA「DPC対象病院において評価を検討するべき項目」として、DPC評価分科会で議論すべきであるとされた項目。

 と同時に、B「急性期入院医療全体として評価を検討するべき項目」として、基本問題小委員会で平行して議論していく項目の両方にかかっている(AB共通項目)。そこで、こちらの基本問題小委員会にかけさせていただいた。

 ▼ Cは、「次期の診療報酬改定では、評価が困難な項目」。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 ありがとうございました。(今回の調査項目は)そういう位置付けにあるということ。(以下略)

 ▼ 質疑では、救急医療の調査に意見が集中した。藤原淳委員(日本医師会常任理事)は補助金でカバーされている分野を調査することを提案。坂本すが委員(日本看護協会副会長)は救急患者の重症度を判別する「トリアージ」の体制などを調査することを要望。また、西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)はDPC以外の出来高払いの病院も調査対象に加えることを提案した。藤原委員と坂本委員の要望は遠藤委員長と西岡分科会長、厚労省で協議して決定するとした。西澤委員の提案は継続審議となった。

 【目次】
 P2 → DPC「新たな機能評価係数に係る特別調査案」
 P3 → 慢性期入院医療の包括評価調査分科会の課題等
 P4 → 「社会医療診療行為別調査」と「メディアス」との乖離
 P5 → 保険医療材料制度に関する意見
 P6 → 薬価算定組織からの意見聴取
 P7 → 特許期間中の新薬の薬価改定方式(薬価維持特例)


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