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「早く追い出せ」 ─ DPC点数表見直し案

■ 「これでいいが基準は必要。全体感がよく見えない」 ─ 対馬委員
 

[対馬忠明委員(健保連専務理事)]
 今回の改定は、「調整係数」の中で見ると、大きな"風呂敷"があったのが、その"風呂敷"がなくなってくると、実態にできるだけ合わせた形にしないとひずみが生じるだろうということで、その方向性としては、私はこれでよろしいのかなと思う。

 ちょっと3つほど質問ないし確認したい。1点目は、「別紙2」(入院初期が非常に大きい場合)だが。
DPC点数見直し別紙2.jpg これは脳梗塞の場合で書いているが、そこの......。

 これは確認だけだが、脳梗塞の場合は5パーセンタイルは使っていないと思うので、右側のほうに「5パーセンタイル使用時」とか、「25パーセンタイル使用時」と書いてあるが、恐らくこれは、「25パーセンタイル」は現在使用で、仮に「5パーセンタイル」を使用した場合にはこういう線になるという意味に理解すべきだろうと思うが、その確認が1点。

 それから2点目だが、これまでの2つの設定を今回3つに......、「特例」というか、こう、3つにするということだが、そうすると若干複雑になるということはさておいて......。

 この......、書きぶりというか、非常に定性的。「診─1─1」(診断群分類点数表の見直し案)の「対応案」で......。

ア 入院初期の1日当たりの医療資源の平均投入量が、1入院期間での1日当たりの医療資源の平均投入量と比して、非常に大きい場合
 「差異が大きい」というのを、どこで決めていくのか。「定性的に差異が大きい場合にはやりますよ」というだけでは、いかがなものか。

 やはり、定量的にある程度見ていかなければいけないんだろう。感覚的に、「これは差異が大きいよね」とか、「差異が小さいよね」ということでは、ちょっとどうかなと思うので、ある種の基準が必要ではないか。

 その基準を決めることと、いつどのようなタイミングでやっていくのか。例えば、毎年見直すのか、2年に1回見直すのか、それとも5年ぐらいはいいじゃないかということでやっていくのか。いずれにしても、その基準みたいなものが必要ではないかと思う。そこをどう考えているのかが2つ目。

 それから3つ目。先ほどちょっとお話があったが、全体感がよく見えない。全体で1500ぐらいの項目があるということだが、1500のうち、例えば「25パーセンタイル」でやっているのがいくつあるのか、それで(廃止予定の設定方法である)癌の化学療法でやっているのがいくつぐらいあるのか。
それが今回、3つの分類になっていくが、そのときに、各々いくつぐらいになるのか。

 「80%ぐらいが従来通りで、20%がこの特例ではないか」と言われたが、全体がちょっとよく見えないので、やはり一覧表みたいな形にしていただければありがたい。今日じゃなくても結構なので、いずれかのタイミングでやっていただければと思う。

 ▼ 支払側の委員がここまで指摘するというのは、かなり問題があるということではないだろうか。なおDPC評価分科会で、齊藤壽一委員(社会保険中央総合病院名誉院長)から同様の指摘がなされている。詳しくは、こちらを参照。

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 最初の1つ目のご質問は文言の問題。

 あとの2つは非常に重要なことで、基準をどうするのか。また、その基準と関連するが、そうした場合にどれぐらいの割合でそれぞれがあるのかを明らかにしてほしいということ。事務局(保険局医療課)、お願いいたします。

[保険局医療課・宇都宮啓企画官]
 医療課企画官でございます。まず1つ目のご質問だが、脳梗塞について1例を示しただけで、脳梗塞は20数種類のツリーがある。その中で、こういう外れるものについては、「5パーセンタイル」もあり得るということ。

 すみません、実際、これについては、本日、担当がいないので......。また、調べて、あの......、あれですが......。基本的には化学療法の設定方法だが、外れたものについては使っていくと聞いている。

 それから2点目のこういう「差異が大きい」というケースについて、見直しのタイミングだが、これは2年ごとの改定の時に「現状を見ながら」ということ。ですから、改定の時に、ツリーを決める時にこういうことをするということ。

 今回については、先ほど会長からお話があったように、現場のほうからも「(入院初期の点数が)実情と乖離しているので、何とかすべきではないか」という声を頂いているところから、分類の仕方をこのように分けたということ。

 あ、失礼しました。今の「別紙2」のケースについては、「5パーセンタイル」を用いているということ。えっとそれから......、3番目、何でございましたっけ?

[遠藤委員長(中医協会長)]
 要するに、この新しい(点数設定)の対象となる基準。それが、定性的な文言でしか書かれていないので、その基準ということ。これは先ほどの藤原委員の発言とも関連するが、それについて。

[医療課・宇都宮企画官]
 はい。基準については、現時点では細かく......、例えば、「数値でどうするか」とか、そこまでは正直申し上げて詰めていない。ただ、現在のところ、このケースを当てはめると、大体、現状でカバーできる感じのものが8割ぐらいで、「別紙4」のタイプのカーブが急なものが10数パーセントぐらい、それから、「別紙5」のなだらかなカーブのものが数パーセントぐらい。現在はそういうイメージでございます。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 はい、対馬委員、どうぞ。

[対馬委員(健保連)]
 「5パーセンタイル」は、中医協で議論したときには、癌の化学療法を中心に聞いたと思うので......。確かに、それだけじゃないということかもしれないが、いずれにしても、現行が「5パーセンタイル」でやっているのがどのぐらいあるのか、それに対して、今回の改定でどう変わっていくのかということをもう一度示していただきたいと思う。

 やはり、「対象をどうするか」という個別具体的なものはもちろん、改定のたびに詰めていただければいいが、「基準」みたいなところは、やはりこの中医協の基本問題小委員会で確認するのが基本だろうと思っている。よろしくお願いいたします。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 その通りだと思う。現状について、どのような割合になっているかというのは既にお答えいただいたが、今後、どのような割合になるのかということは、基準を決めなければ分からないと思うので、基準の議論ということも、適宜(DPC評価分科会で)始めていただきたいと思う。企画官、お願いします。

[医療課・宇都宮企画官]
 おっしゃるように現状については、それぞれいくつ適用されているかは、数えればこちらにお出しするのは可能でございます。
それから、この3つの対象がそれぞれどうなるのかについては、まず、10月までのデータを出していただいた後の分析となるので、お示しできるのは恐らく年末になってしまうと思う。

 ▼ 改定率を見てからということだろう。プラス改定の可能性が高いので、次期改定では深刻なマイナスにはならないとの見方もできるが......。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 はい、ありがとうございます。よろしいだろうか......。坂本専門委員、どうぞ。

 【目次】
 P2 → 「2種類の設定方法を3種類にしたいという案」 ─ 厚労省
 P3 → 「トータルの医療機関の収入はどうなのか」 ─ 西澤委員(全日病)
 P4 → 「入院期間の短縮が進むが、受け皿があるのか」 ─ 藤原委員(日医)
 P5 → 「これでいいが基準は必要。全体感がよく見えない」 ─ 対馬委員(支払側)
 P6 → 「早く退院させるのか、行動が変容するか」 ─ 坂本専門委員(日看協)

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