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ニュース〜医療の今がわかる

「わが国の医療費の水準と診療報酬」 ─ 中医協・遠藤会長の講演 (2)

■ 次期改定の主要課題① ─ 新たな課題
 

 さて、もう時間も大分なくなったわけですが、(中医協総会、基本問題小委員会、各専門組織などが書かれたスライドを示して)中医協というのはこういう仕組みになっておりまして、(最高決定機関である)総会、それから診療報酬の本体部分を決める基本問題小委員会......(中略。各審議会の概要や、改定率の決定について説明)。
 さあ、ちょっとだけでも診療報酬改定の話をしなければいけなので、話をさせていただきます。今回、非常に大きな問題としては2つあります。

1. DPC対象病院の機能係数
 1つは、DPC対象病院の機能係数。DPC対象病院の基準を緩めていますので、非常に多くの病院がDPCに参加してくることが予想されます。恐らく、一般病院の半分ぐらいが(DPC対象病院に)なるのではないかと言われています。かつての「急性期だけ」という考え方から多少違ってきています。ただし、あくまでも評価の対象は急性期の病床になります。

 これ(DPC対象病院)が増えてくるわけですが、(来年度から)「調整係数」を段階的になくすということになっています。その場合に収入が減る可能性がある。今までは「調整係数」で保証していたわけですが、それを別途、病院の機能にふさわしいものを評価して、機能係数というものを別途与えることによって、望ましい機能を持っていると思われる病院には報酬を高くするということをしようということが方針として決まっています。現在は、「何を機能係数とするか」という議論をしているところです。

 それと、具体的にまだ決まっていないのは、「調整係数」を廃止するといっても、どのぐらいの期間の経過措置の後に廃止するのか。そういう具体的なところは今後の議論という形になります。これが、急性期病院にとってみれば非常に大きな議論になりますし、我々も審議に時間を掛けなければいけないところです。

2. 新薬の薬価維持特例制度
 もう1つ、新薬の薬価維持特例制度というものを議論しなければいけない。これは何かと言いますと、日薬連(日本製薬団体連合会)から要望のあったものです。
 要するに、わが国の薬価水準というものが右肩下がりに下がっていくということで、これでは非常に魅力のないマーケットになってしまって、それがひいてはドラッグラグの問題等々、問題を生み出すので、ぜひ革新性の高い薬に関しては薬価を下げないでほしい、特に特許期間中は下げないでほしいという要望です。

 具体的にいろいろ議論をしていくうちに、「何が革新性が高い薬か」というところのジャッジメントがなかなか難しいということもあってですね、日薬連の意見では、薬価調査をして、平均的な薬価の下げ率よりも上にあるものについては、平均よりも上のものについては下げないでほしい。それより下がったものについては、これは革新性がないとマーケットが判断したのであるから、それは逐次2年おきに下げていただいても構わないけれども、そうでないものについては、価格を下げないでほしい。ただし、特許が切れる段階においては、今まで下げなかった分をまとめてドーンと下げますというような話です。

 ほかにも、いろいろとこれに関連した話が一杯ありまして、未承認薬(・未承認適応)を進めるための組織(未承認薬等開発支援センター)をつくるので、そのためにコストが掛かるからそういう意味合いでも、これ(薬価維持特例)を進めてほしいとか、いろいろな議論があります。この話をすると、長い話になるので......。

 これもですね、1つは新しい薬の評価をすることによって、日本の薬のマーケットとしての良さを少し魅力的なものにするという反面......。もともと医療費というのは、改定率が決まっても薬剤費と医療費に分けるんですね。さらに医療費の中でも「分け」がありますから、(薬価維持特例を導入すると)結果的に薬剤費が膨らんでくるのではないかという懸念があって反対の議論がまだあって、今後どうなっていくのかというのは、今のところ明確な方針は決まっていません。今後の議論に委ねられるということです。


【目次】
 P1 → 診療所から病院への財源シフトは、22年度改定でも議論になる
 P2 → 診療所の医療費のシェアは下がっている
 P3 → 診療所に有利な資源配分がされている
 P4 → 医療法人の診療所との比較が今後のポイント
 P5 → 各科バランスも議論しなければいけない
 P6 → 次期改定の主要課題① ─ 新たな課題
 P7 → 次期改定の主要課題② ─ 従来からの課題


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