「わが国の医療費の水準と診療報酬」 ─ 中医協・遠藤会長の講演 (2)
■ 次期改定の主要課題② ─ 従来からの課題
「従来からの課題」ですが、前回は診療所......、前々回もそうかもしれませんが、診療所や療養病床から急性期(病院)に財源シフトを行ったわけですが、それでも勤務医の疲弊というものがなかなか改善されていない。従って、それを今後どうするかという問題があります。
それから、周産期・救急医療についても、これまで何度も点数としては重視してきたつもりですが、まだまだ十分でないということもありますので、中医協・基本問題小委員会として初めてのことですが、こういう方々からヒアリングをしようということを私が提案して承認されましたので、どこかの段階でヒアリングをすることになっています。
療養病床の問題も、「下げられすぎた」という意見が随分強いわけで、今後どうするのかという問題があります。
基本診療料の問題については、診療所の再診料(引き下げ)問題は継続的に議論になると思いますし、それから、病院の入院基本料の引き上げという要望が出ていますので、それをどう考えるか。
リハビリ、外科、その他まだまだ個別にいろいろな議論が出てまいりますが、この辺については今後の議論ということになります。
これ(入院診療に関する業務負担の変化のグラフ)は、勤務医の負担を軽減するため、例えば(医師の事務作業を補助する)メディカル・クラークとか、いろいろな方策を(08年度改定で)入れたつもりですが、いかんせん財源的な問題があるものですから、必ずしも十分でないという部分もあったかもしれません。
そこで、(中医協の)検証部会で調査したもの。膨大な中身を調査したのですが、ここ(入院診療に関する業務負担)で聞いていることは1つだけで、「1年前と比較して入院診療に係る業務負担の変化があったかどうか」です。Nが2389ありますが、「軽減した」というのが7.2%、「変わらない」というのが47.4%、「増加した」というのが43.2%ということです。
もちろん、診療報酬でちょっと手当てをしたぐらいでは、もっと大きな要因が勤務医の環境にたくさんありますから、そういう問題も含めてなかなか改善していないということもあるので、これをどうするかということも今後の議論になると思います。
今、ちょっと、中医協は中止した状態になっておりますが、再開されますと週2回ペースでさまざまなことが進展していくだろうと思っています。ちょうど......、(講演予定の)1時間ということですので、私のお話はこれにて終了したいと思います。どうも、ご静聴ありがとうございました。(会場、拍手)
【目次】
P1 → 診療所から病院への財源シフトは、22年度改定でも議論になる
P2 → 診療所の医療費のシェアは下がっている
P3 → 診療所に有利な資源配分がされている
P4 → 医療法人の診療所との比較が今後のポイント
P5 → 各科バランスも議論しなければいけない
P6 → 次期改定の主要課題① ─ 新たな課題
P7 → 次期改定の主要課題② ─ 従来からの課題