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ニュース〜医療の今がわかる

「わが国の医療費の水準と診療報酬」 ─ 中医協・遠藤会長の講演 (2)

■ 各科バランスも議論しなければいけない
 

 もう1つの配分問題は、各科バランスです。やはり、「儲かる診療科とそうでない診療科があるだろう」ということで、調べてみました。これは前回の(平成19年度)「医療経済実態調査」ですが、無床診療所の主たる診療科別の収支率です。

 これをパッと見ますと、俗に言われるようにやはり眼科や耳鼻咽喉科が良いと読めるかもしれません。ただ、これも先ほど申しましたように、収支率は個人病院と医療法人によって会計の仕方が違うので、そのまま病院と(診療所を)比較できない。しかし、病院と比較できませんが、診療科ごとの比較はある程度できるだろうということで、こんなふうになっています。

 無床診療所のグラフは、「その他」の中に、先ほど言ったように医療法人の診療所も入っています。従って、上のグラフ(無床診療所の全体)と比べると割合が少なくなっています。これも今回(の医療経済実態調査)は医療法人の診療所も出します。

 ただ、問題はですね、病院で行われる医療行為と、同じ診療科であっても診療所で行われる医療行為とは違うということです。例えば、無床診療所で行われる外科医療と大病院を比べると大分違うわけですから、(診療科別の収支率の)病院バージョンをつくらなくてはいけない。

 ただ、病院バージョンは大変難しい。間接費の部分をどのように各診療科に配賦するかという非常に面倒臭い作業がある。中医協の下部組織である「コスト調査分科会」があります。そこでは、間接費を丁寧に配賦して診療科ごとの収支率を出しています。これを2回にわたって行いました。(7月29日の)中医協に報告されています。

 この結果は今日はお持ちしなかったのですが、(厚労省の)ホームページに載っていますので、ご覧になっていただきたい。
 残念なことに、(回答)作業が大変煩雑なために、これに対応できる病院が、DPC対象病院、DPC準備病院に限られていて、数もそれほど多くないので、「全体としての代表性が乏しいだろう」ということになっております。
 従って、来年度からの調査では、コストの配賦については病院の負担が少ないように非常に簡易型の調査をして、サンプル数をうんと増やす。それによって病院の診療科ごとの収支をより代表性のある形で集めていく。正確性は多少落ちるかもしれないけれども、代表性ある形にしようということで、新たな調査を来年度行うということを決めています。ということで、この各科バランスということもまた議論しなければいけない。


【目次】
 P1 → 診療所から病院への財源シフトは、22年度改定でも議論になる
 P2 → 診療所の医療費のシェアは下がっている
 P3 → 診療所に有利な資源配分がされている
 P4 → 医療法人の診療所との比較が今後のポイント
 P5 → 各科バランスも議論しなければいけない
 P6 → 次期改定の主要課題① ─ 新たな課題
 P7 → 次期改定の主要課題② ─ 従来からの課題


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