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妊婦の救急搬送、東京消防庁で助産師が行うコーディネートとは?


■設置場所、医師会や病院などに先例
 札幌市では昨年10月から市の医師会が運営する夜間急病センター内に配置された二人の助産師が「情報オペレーター」として、受け入れ先となる病院に電話して産科やNICUの空床情報を確認し、救急隊からの問い合わせを受けて情報を伝えるなどの業務を行っている。コーディネートの役割だけでなく、医療機関にかかるべきか判断がつかない妊婦などへの相談も実施している。 
 
 国内では比較的早い段階の1980年代以降に、周産期医療の地域連携体制が整い始めた大阪府では、3次救急クラスに対応できる産科を持つ医療機関から成る「産婦人科診療相互援助システム」を活用して受け入れ先を探す。そこで搬送先が見つからなかった場合に府立母子保健総合医療センター(和泉市)内に交替で勤務するキャリアのある医師が調整を担うという仕組みだ。
 千葉県でも昨年から、亀田総合病院(鴨川市)内に母体搬送のコーディネーターを設置して運用を始めている。
 
 ■都は「スーパー総合」と「コーディネーター」両輪で整備
 東京都では先述した墨東病院の問題がきっかけとなって体制整備が進んだ。都は3つの病院が輪番制で24時間必ず妊婦を受け入れるようにする「スーパー総合周産期センター」の整備と、搬送コーディネーター制度の2本柱で進めている。スーパー総合周産期センターはすでに3月から稼働して実績を上げているが、内容については検証中だ。搬送コーディネーターについては、8月31日から始まったばかりで、実効性が注目されている。
 
■搬送コーディネーターの詳しい業務内容はこちらこちらを参照
転院搬送.JPG 簡単に言うと・・・例えば、産科クリニックなどで切迫早産になりそうになった妊婦がいたとして、クリニックの医師らは産科と新生児科(NICU)で受け入れが可能な2次、3次救急レベルの産科救急医療機関を探すために、まず地域の総合周産期母子医療センターに連絡する。総合センターが受け入れ先を探すが、見つからなかった時には東京消防庁内にいるコーディネーターに連絡する。コーディネーターは受け入れ先の産科やNICUの空床情報が画面上に表示される周産期医療システムを使ったり、電話で問い合わせたりして受け入れ先を探す。見つかれば、クリニックから救急車で妊婦を搬送するといった形。新生児の搬送にも対応する。しかし、これでも見つからなかった場合は総合センターが何らかの形で対処しなければならないことになっている。
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