新体制の中医協で、ついに"開戦"
■ 「全国の小さな病院も全部入っている」 ─ 西岡分科会長
[嘉山孝正委員(山形大学医学部長)]
この調査を拝見しますと、やはり大都会で医師が十分というか、日本は東京でも足りないんですが、そういう状況の中でのデータを取っていて、いわゆる「ハコ」をつくってDPCをやれている病院は良い結果が出ているようになっている。
やはり、今の日本の医療の崩壊を防ぐためには、田舎というか、人口が少なくて医師も少ない所を考慮しないと、DPCの係数を決めるときにですね、さらに崩壊していく。政権が代わって、「今の医療崩壊を食い止めたい」というのが今の政権の考えですから、その辺のところを西岡先生はどのように対応されるんでしょうか。
それからもう1つは、すごく手間がかかるようなものに対して、あるいは自然科学を相手にしているものですから、DPCではどうしても不採算部門になってしまう所がある。そうすると、日本の医療の萎縮が起こる。
先ほど、(薬価専門部会で)北村先生(経団連社会保障委員会医療改革部会長代理)が「この国のバイオはどうなるんだ」ということをおっしゃったが、 バイオを我々はやりたいんですが、なかなか(診療報酬の)制度的な理由でやれない所もあるんですよ。ですから、そういうことも含めて、最先端、あるいは治験や研究をやっている所、大学病院だけでなくナショナルセンターでも、DPCはかなり不採算だと言うんですよ。その辺のお考えはいかがでしょうか。
つまり、日本の地域医療を再生することと、自然科学を相手に新たなことをやるときに、DPCに関しては非常に問題がある。そのデータはありますけれども、そのことに関してのお考えをお聞きしたい。
[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
はい。もし、ご意見があれば。地方の問題ですね、それから、高機能の医療についてということですね。西岡先生、よろしくお願いいたします。
[西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
この集計された資料でございますが、これは全国の小さな病院も全部入っております。DPC(対象病院)は今、1283病院ですか、広がっていますので、ここでは(DPC準備病院も含めて)1544のものが入っています。その中で、特に地域の場合、どういうふうにするかという議論も現在行っているところでございます。
我々の分科会の中には、地域出身の委員の方もおりまして、地域に手厚い形でできないかということで考えています。(地域医療への貢献を評価する係数について)実際には、この基本問題小委員会でお決めいただくことになると思いますが、DPCはありがたいことにデータがございますので、データを出して、そのデータに基づいて行っていくという提言をさせていただきたいということが我々の役割です。
▼ DPC評価分科会は大病院の立場で発言する委員で固められていたが、9月24日のヒアリングから、中小病院を代表する立場の委員として、美原盤委員(財団法人美原記念病院院長)と、金田道弘委員(特定医療法人緑荘会理事長兼金田病院長)が新たに加わった。しかし、「新たな機能評価係数」の項目の絞り込みを終えた後の参加であり、地方病院の意見はほとんど反映されていないといえる。
それから、2つ目のご意見の先端医療に関しましては、先端医療について別の委員会がございますので、そこでご検討いただくということで、そのもの自身が一般医療に入ってきたときに、さらに分岐して、それに対して手厚い......、何と言うんですか......、医療費を出していただきたいということをお願いするのが私たちの役割と考えています。
[遠藤久夫委員長(中医協会長)]
ありがとうございます。
[嘉山委員(山形大)]
会長、よろしいですか。
[遠藤久夫委員長(中医協会長)]
はい、嘉山委員、続けてどうぞ。
【目次】
P2 → 「何が問題かを議論したほうが国民のためになる」 ─ 嘉山委員
P3 → 「いやいやいや......、あの......」 ─ 遠藤委員長
P4 → 「全国の小さな病院も全部入っている」 ─ 西岡分科会長
P5 → 「DPCを改善しなきゃいけない」 ─ 嘉山委員
P6 → 「医療がどんどん荒廃してしまう」 ─ 鈴木委員
P7 → 「完治に至らないままの退院が増えているという実感」 ─ 安達委員
P8 → 「ちゃんとやっても赤字というのはおかしい」 ─ 邉見委員