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11月25日の中医協 (ブリーフィング) 

11月25日の中医協.jpg 厚生労働省は11月25日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の総会と基本問題小委員会を開催した。会議終了後に厚労省の担当者が行ったブリーフィング(記者説明)の模様をお伝えする。(新井裕充)

【前回までの中医協】
○ 11月20日の中医協 (ブリーフィング)
○ 11月18日の中医協 (ブリーフィング)
○ 11月13日の中医協 (ブリーフィング)
○ 11月11日の中医協 (ブリーフィング)
○ 11月6日の中医協 (ブリーフィング)


■ 総会 ─ 平成22年度診療報酬改定に関する意見
 

[保険局医療課・尾崎守正課長補佐]
 総会では、1号(支払)側と2号(診療)側から改定に関する基本的な考え方、意見が出されました。1号(支払)側は白川修二委員(健保連常務理事)が説明され、2号(診療)側は西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)が説明されました。

 1号側の総意としては、賃金や物価も下がっていて国民生活が厳しい中で保険料の引き上げにつながるような診療報酬の引き上げを行う環境にはない。そうは言っても重点的に評価しなければいけない分野もありますので、限られた財源を効率的に配分していくことが大事なんじゃないかという発言があったと思います。

 西澤さんからは2号側の意見ということで、平成14年度から4回連続でマイナス改定をされていて、それが現在の医療崩壊の主な原因になっている。これを改善するために、マイナス分を取り戻して底上げをしなければいけないという発言がありました。

 その後、それぞれご議論いただいたという状況です。白川さんのほうは、診療報酬を上げると患者さんの負担なり保険料の負担につながるので、そういった観点を考えるとなかなか上げるのは難しいのではないかというご発言がございました。

 それに対して2号側からは、(保険料負担増など)そういった部分も含めて公費なり財政投入して穴埋めしてあげればいいんじゃないですかというご発言が(安達秀樹委員・京都府医師会副会長から)あった。

 公費については、公益委員の方からも多少ご意見が出されて、どういう理屈で公費を取りに行くんだと、取りに行くにしてもきちんとした理論武装がないと、ただ「くれくれ」と言うだけでは財務省を通らないんじゃないですかという発言もありました。

 最終的に遠藤会長のほうで「公益委員預かり」という形にした上で次々回(総会)以降に中医協としての意見書の案を作った上でまた議論いただくということで今日の議論は終了したというところです。

 ▼ 支払側の主張はこれまでと同様、「財源論」の一点張り。これに対して診療側から頻繁に出たのは「政権交代」という言葉だった。鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事)は「1号側の意見を聴いていると前回改定までと変わらない気がする。なぜ政権交代が起きたのか。日本の社会の在り方を変えていこうということだと思う。厳しい状況だからこそ医療や介護、教育など社会のセーフティーネットを安定させて混乱した格差社会を変えていこうという過渡期にある」と訴えた。安達秀樹委員(京都府医師会副会長)も次のように述べ、政権交代の意味を問題にした。
 「先日、山井政務官が(1号側と)同じことをおっしゃった。『診療報酬を上げると患者さんの自己負担が増えるんですよね』と。私は『政務官から残念なお言葉を伺った』とお答えした。そもそも世界の保険機構の中で自己負担が3割なんていう国は本当に保険の体をなしているのか。自己負担2割に直すことが正しいのではないか。その財政負担については国庫の出動が必要だろう。医療崩壊を防ぐためには診療報酬を上げなければいけない部分が確実にある。しかしそれが患者さんの自己負担(増)や健保組合の財政状況(悪化)が理由で上げられないという議論は堂々巡り。そうではなく、『国策を変える』ということなら、そういうことも含めて検討すべき。診療報酬を上げると患者さんの自己負担が上がるという話は、積年の課題である『3割を2割に戻す』という議論とセットにすべきではないかと政務官に申し上げたし、それが政権交代の意味ではないか」


【目次】
 P1 → 総会 ─ 平成22年度診療報酬改定に関する意見
 P2 → 基本問題小委員会① ─ 歯科診療報酬(在宅歯科医療の推進)
 P3 → 基本問題小委員会② ─ 歯科診療報酬(障害者歯科医療の充実)
 P4 → 基本問題小委員会③ ─ 歯科診療報酬(患者の視点に立った歯科医療)
 P5 → 基本問題小委員会④ ─ 歯科診療報酬(生活の質に配慮した歯科医療の充実)
 P6 → 基本問題小委員会⑤ ─ 歯科診療報酬(歯科固有の技術の評価)
 P7 → 基本問題小委員会⑥ ─ 調剤報酬

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