NC独立か植民地のままか 11日の内閣府検討チーム
足立信也・厚生労働大臣政務官
「国立大学に15年いた経験から言うと、大事なことは特殊性であり特異的なことだ。大学の医師であれば、研究でオンリー1をめざしているところは必ずあり、その競争は、場合によっては直属の上司を蹴落とすくらいのことにもなりかねず、時として批判されることもあるけれど、それを普通の組織にすることがよいことなのか。特異的なことで言えば女性職員が300人いて1人も生理休暇を取っていないというような極めて異常な点など改めるべきは何なのか、直すべき所を認識していただきたい」
大久保
「大学でも調査をしたことがある。特異性はあるだろうが普遍性もあるだろう。不祥事を起こしたような組織というのは現場の率直な声に経営者が耳を傾けていない。逆に現場の声に耳を傾けた企業ほど成長しているというのが、ここ数十年分かってきたことではないか。1個1個の独法をどうするかは経営者が決めればよい話でありここで議論する必要はない。しかし現場の声が経営者に伝わる仕組みだけは、ガバナンスとしてここで作ってほしい」
ここで「役人じゃない事務局」4人衆(大久保和孝公認会計士、志賀櫻弁護士、境田正樹弁護士、伊東賢治公認会計士)が連名で提出した、12項目の提言を含むとりまとめ案について、境田氏と大久保氏が説明。
大串博志・財務大臣政務官
「財務の長期債務を承継しないという点に関しては、やや戸惑いを覚える気がする。NCの最先端の部分は一般会計で措置されているからというのだけれど、私も役人時代に独法をつくる時の法律を担当して苦労しながらやった思い出があるが、それなら独法ではなく一般会計でやればいいじゃないかという話になる。収益を生む資産と人的資源があるという点が一般会計の考え方と違うし、そもそも公的機関でやる必要はないけれど、公的な要素もあるから、その真ん中でやるというのが独法であり、債務の切り分けもそれに従って、収益を生む部分とそうでない部分を切り分けて、収益を生む部分を持っていただきながら、生まない部分は一般会計で措置しましょうということ。収益を生む部分のオペレーションで債務の返済もしていく、と。
借入金と資産価値が見合ってないのでないかという指摘に関しては、少なくとも借入の際には見合うものとして査定されているわけだし、財投の期間と設備の寿命とがミスマッチを起こしているという指摘に関しても、そこが見合った収益を生むかどうかでクリアできるのでないか」
大久保
「独法は、イギリスのエージェンシーを手本に作られたはず。あちらは、民営化するかどうかの判断のために一定期間やってみて無理なら戻すという運用になっている。しかし日本の場合は、その辺の性格が変わってしまって、結果的に公務員の定数削減のための道具という側面が強い。平成13年にできたときは自己財源で賄えるものはほとんどなく、平成15年の第二陣でようやく国立病院と国立大学が収益を生む可能性のあるものとして出てきたが現状はご承知の通りだ。収益を生む可能性と長期債務をリンクづけることに違和感がある。
民間で長期借り入れをする場合は、収入の範囲内で返済できるかどうかから考え始めるのであり、15年使うものを20年で借りることなどない。むしろ15年全部かけずに10年とか極力短いタームで返せるように検討する。今回のNCに関して言えば、過剰な投資と返済計画の無理が目につくわけで、本当にそれだけの収益を生むのかも分からないのに債務を負わせてしまえば、ミッションが達成されなくなる可能性が高いのでないか。過去の判断の誤りが積み重なってできたものを新生NCに負わせるべきでないと考える。最終的には色々な視点でご判断いただけたらと思う」