村重直子の眼9 小山万里子・ポリオの会代表(中)
小山
「何より、まずポリオのことをご存じないお医者さんが非常に多いんです」
村重
「もうほとんどない病気だと思っていますからね」
小山
「あなたは、片足が尖足ではないからポリオではない。ポリオとは片足が尖足だ、と言われて情けなく病院から帰ったこともあります。でまあ、色々とさまよい歩きまして、そのうちに絶対に自分と同じ症状の人はいる、と。ふと、1歳2歳で日赤に入院していた時の同じ病室の男の子の顔が思い浮かびましてね、あの子も無事だろうか、今ごろ私と同じ症状を発症しているのではないだろうかと思って、その子に呼び掛ける思いで、ある新聞の読者欄に投稿しました。掲載されたのが1995年の12月で、その時に23人からお手紙をいただきました。そんなにいると思いませんでした」
村重
「そんなに。それだけ皆さん困ってらしたんですね」
小山
「それと変な言い方ですけれど、私たちは団塊の世代ですので、そうするとポリオ後症候群の発症のお年頃だったのですね。気のせい、気のせいだと思い込んでいるのだけど、気のせいじゃなかったと。それこそ、デビッドボウイのスペース・オデッセイ、孤独にさまよっていたのが巡り合ったという感じが非常にしました」