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ニュース〜医療の今がわかる

「どこでボタンをかけ違えたのか」 宮台真司氏講演 ~現場からの医療改革推進協議会より


 そうした90年代を経て、2000年代の先進各国の政治的な方向性はどういうものなのか。日本以外のという言葉がつくわけですけれども、二つありますね。一つは僕のネーミングでは「この指とまれ方式」。これは従来の安保理で有力な国が議決するとか総会で議決して、こうなりましたと国民に報告する、あるいは議会で批准させるという図式じゃないんですよ、全く逆なんですよ。全く逆。つまり一つは京都議定書がそうね、あるいはオタワの地雷廃絶の条約もそう。これ全部京都プロセスでオタワプロセスなんですね。つまりこの指とまれで、段々実績を積んだ人の集まった国がですね議定書に調印していくという流れですね。

 で、さらに「風の谷のナウシカ方式」。つまり共同体で自己決定する。トルメキア軍が攻めてきた。あるいはトルメキア軍が新しいテクノロジーを使って近代化しろと言った。言うことをきかないと、どうもペジテのようになってしまう。分からない人はいいですよ。私は実はサブカルチャーの評論家というのが専門でもあるので。要はですね、個人が自己決定するんじゃなくて、共同体が自己決定するんだという発想なんですね。それはどういうことかというと、個人は非常に脆弱なんです。共同体に守ってもらわないと、グローバル化の中では所詮個人では生きられない。さて自分を守ってもらうための共同体のプラットフォームをどういうものにするべきなのかということを、みんなで話し合って決めるんですね。僕がどうしたいかということじゃなくて、みんなが共有財 commonsとして利用しているプラットフォームをどうするのかということを決める、それを共同体的自己決定という風に言います。 

 昨年末にコペンハーゲン、デンマークのCOP15へ行ってきました。色んな人と会って話を聴いてきました。当時、鳩山さんが25%削減の約束をしました。「流れを作ってくれたからありがとう。でもね信用してないよ」って特に中国の人たちは言います。「だって実績ないじゃん」と。中国やアメリカの方がはるかに実績を積んでいる。中国はご存じのように、たしか年間0.6%の植林をしている。ものすごい植林実績があります。アメリカはご存じのようにNGOが絶えず環境対応をしていて、国際会議をすれば各国あるいは各国のNGOは、アメリカのNGOを頼らなければ何もできない状況ですね。気候変動枠組み条約なんか特にそうです。

 さらにデンマークでよく分かるのは、各共同体は国家と国家連合をもはや等価に見ているんですね。自分たち共同体にとって、共同体の存続にとって役立つのは、たとえばフランスなのか、あるいはEUなのかというように、ファンクショナリー・イクイバレントな地平の上で、国家とそうでないものを比較するということをやるんですね。で、日本には全く今のところそういう発想はない。全くないんですね。なんでないのか。歴史の話を今からします。

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