がん治療の救世主となるか、「ホウ素中性子捕捉療法」
■ 「標準的医療ではなく先進医療をやる」 ─ 嘉山理事長
[加藤雅志・国立がん研究センター企画戦略室副室長]
皆様、大変お待たせしました。定刻となりましたので、ただ今から、国立がん研究センターと株式会社CICS間の世界初となる加速器を用いた「ホウ素中性子捕捉療法」(BNCT)の共同研究契約に関する調印式を始めさせていただきます。
それでは、まずはじめに出席者の紹介をさせていただきます。
独立行政法人国立がん研究センター理事長、嘉山孝正でございます。
理事長特任補佐の堺田正樹でございます。
企画戦略室室長、成田善孝でございます。
中央病院・放射線治療科、伊丹純でございます。
株式会社CICS・代表取締役社長、今堀良夫でございます。
代表取締役副社長、伏見有貴でございます。
取締役、藤井亮でございます。
そして私、本日の司会を担当いたします、国立がん研究センター企画戦略室副室長および広報室長の加藤雅志でございます。よろしくお願いいたします。
それではまずはじめに、今回のBNCT(Boron Neutron Capture Therapy、ホウ素中性子捕捉療法)に関する共同研究について、国立がん研究センター理事長・嘉山孝正よりご挨拶を申し上げます。よろしくお願いいたします。
[嘉山孝正・国立がん研究センター理事長]
それでは、申し訳ありませんが座ってお話しさせていただきます。資料を見ていただきたいのですが、ここに今日の情報公開の1つの目的が書いてございます。
そもそも、この共同研究の基になりますのは、(厚生労働科学研究費補助金)「医療機器開発推進研究事業」というものでした。
それ以前はですね、これは平成20年から始まったのですが......。私が着任したのは平成22年なので、それ以前からされていたのですが、その内容を全く変えました。
というのは、この「医療機器開発推進研究事業」以前に、全部で6年間、(厚生労働科学研究費補助金)「身体機能解析・補助・代替機器開発研究事業」を......。
簡単に言うと、「医療の新しいハードを研究して形にしなさい」という研究費が当時、国立がん研究センターに与えられていたのですが、私が(平成22年4月に)まいりまして調べたところ、ほとんど業績が上がっていない。
ということで、平成20年から始まっていたものも見直しをかけて、急きょ厚労省の許可を得まして、「高度医療技術の効率化および標準化に関する研究」というものに変えました。その中身が、本日ご発表するものでございます。
したがいまして、(昨年4月に)独立行政法人となった「新生・国立がん研究センター」として、国民の健康ために新しい機器・医薬品の開発をするのは使命です。従来の標準的医療ではなく先進医療をやるんだということを、私が(昨年4月)1日に皆様にお約束をしました。
その第一歩を今日踏み出すことになったので、ご報告するわけでございます。(ホウ素中性子捕捉療法について)詳しくは、伊丹君からお話しさせていただきますが......。
【目次】
P2 → 「標準的医療ではなく先進医療をやる」 ─ 嘉山理事長
P3 → 「世界初、日本初をがんの領域で行う」 ─ 嘉山理事長
P4 → 「病院設置型、加速器、BNCTで世界初」 ─ 伊丹科長
P5 → 「ホウ素を集積したがん細胞だけ死滅」 ─ 伊丹科長
P6 → 「病院設置型加速器の最先端として確立したい」 ─ 伊丹科長
P7 → 「我が国初の技術として世界の市場に」 ─ 伊丹科長
P8 → 「対象はホウ素が集積する悪性腫瘍」 ─ 伊丹科長
P9 → 「国立がん研究センター以外ではできない」 ─ 伊丹科長
P10 → 「バラバラを横つなぎにした第一歩の研究成果」 ─ 嘉山理事長
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