がん治療の救世主となるか、「ホウ素中性子捕捉療法」
■ 「我が国初の技術として世界の市場に」 ─ 伊丹科長
[伊丹純・国立がん研究センター中央病院放射線治療科科長]
1930年代、(英国の物理学者)チャドウィックが中性子を発見して、(米国の物理学者)ロッチャーという人が「中性子捕捉療法ができるんじゃないか」ということを言いました。
ただ、その後の連綿とした臨床的な技術は日本で開発されてきました。帝京大学の畠中(坦)教授とか、京大の三嶋(豊)先生......、(当時)神戸大学の......。
そういう人たちが開発されてきたわけですが、アメリカではもう捨てている技術です。ところが、日本ではやってきて大きな業績を上げている。それを統計学的に、まさに世界水準で確立していこうというのがこの研究であります。(中略)
国立がん研究センターは臨床試験が得意です。医師主導治験の豊富な経験があります。また、「ホウ素中性子捕捉療法」の適応と思われるようながんの患者さんが多数来診されます。
今まで、1930年来、なぜBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)が......と言うと、結局、症例数が少なくて原子炉でやっていたからです。それを打破するのは、この国立がん研究センターしかないと思います。
それによって、世界水準の先端的ながん治療法を確立して、我が国初の技術として世界の市場に打って出ていかなければと思っています。(中略)
【目次】
P2 → 「標準的医療ではなく先進医療をやる」 ─ 嘉山理事長
P3 → 「世界初、日本初をがんの領域で行う」 ─ 嘉山理事長
P4 → 「病院設置型、加速器、BNCTで世界初」 ─ 伊丹科長
P5 → 「ホウ素を集積したがん細胞だけ死滅」 ─ 伊丹科長
P6 → 「病院設置型加速器の最先端として確立したい」 ─ 伊丹科長
P7 → 「我が国初の技術として世界の市場に」 ─ 伊丹科長
P8 → 「対象はホウ素が集積する悪性腫瘍」 ─ 伊丹科長
P9 → 「国立がん研究センター以外ではできない」 ─ 伊丹科長
P10 → 「バラバラを横つなぎにした第一歩の研究成果」 ─ 嘉山理事長
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